「スマートニュース」でヘッドラインを斜め読みしていたら、日刊大衆の「日本の観光名所が危ない!コロナ禍で中国に乗っ取られ実態」という記事がありました。岐阜県下呂市の温泉街で買い手が付かなかった古い温泉旅館を中国人が買収、温泉付きのマンションに改装した。という内容でした。
記事中では「コロナ禍で足元を見られ、安く買い叩かれます。価値が下落したときに買う逆張りが中国人の投資の強み。ワクチン接種が進み、観光業が盛り返してきたら、旅館やホテルの価値は上がりますので、そのタイミングで売却する気でしょう」とおよそ経済評論家らしからぬコメントも紹介。
買収された温泉旅館は随分と年季の入った建物で、廃業後ずっと買い手が付かないまま放置されていた物件でした。大金を注いで買収しただけでなく、マンションとして使えるように追加投資までした中国人投資家からしたらヒドイ言われようです。

コロナ以前、中国人はインバウンド観光の流れで、東京、大阪、京都をはじめ様々な都市の不動産を爆買いしていました。アリババのジャックマーも北海道に巨大な別荘を購入していましたし、知り合いの中国人は「東京タワーの直下に広がる芝生がきれいな公園内にある著名建築家が手がけた一軒家」という激レア物件を購入していました。
ではコロナ終息の光がわずかに見え始めた今日、中国人富裕層は日本の不動産をどのように見ているのでしょうか?以前と同じように、魅力的な投資対象として見ているのでしょうか?
「移民幣」という中国メディアに「日本の不動産への投資は中国国内よりリターンが大きい?まあ焦らないで、まずはいくつかの疑問点にお答えします。」というタイトルの記事があったのでご紹介します。

日本の不動産は時代の流れに乗って少しずつ値上がりしていますし、中国国内の不動産よりも高リターンと言えます。では日本で満足のいく不動産を買うにはどうしたらいいのか、投資する前に理解しておくべきことは何でしょうか。
毎日たくさんのお客様からお問い合わせをいただいておりますが、今回はその中でも特に頻繁に受ける質問をまとめてご紹介します。日本の不動産を買い漁る前に是非参考にしてください。
質問1)世界的な景気減速の中、海外の不動産に投資する価値はありますか?どこに投資するのがお勧めですか?
海外の不動産は、世界的インフレ懸念を背景に、長期的なインフレ対策の資産として投資する価値は十分にあります。海外不動産に投資する場合、投資リスクが比較的低い大都市にある物件に投資すると良いでしょう。
大都市の不動産については、コロナ禍でも不動産価格が上昇傾向にあり、特に日本は投資する価値が非常に高いといえます。日本の場合、2つの大都市に投資すると良いでしょう。1つは東京で、もう1つは大阪です。
質問2)地震が多いようですが、家の安全性はどうですか?地震による経済的損失はありませんか?
ご安心ください。日本政府はこの問題についても考慮しています。
日本の建築物の耐震基準は、建築基準法と建築基準法施行令によって厳格に規定されています。建築基準法では、新築の建物は100年に一度の大地震でも倒壊せず、また数十年に一度の大地震でも損傷しない耐震強度を確保することが定められています。
日本における住宅構造物の最低耐震基準はマグニチュード8です。この法律を満たすように設計された建物だけが建築を許されます。建築資材は厳格に検査され、低品質の建築資材が市場に流通することはまずありません。
さらに地震保険に加入することもできるので、そこまで心配する必要はありません。これは地震、噴火、津波、火災、洪水などの自然災害による損害を保障するために設けられた保険です。地震や津波で家が倒壊しても、保険会社から補償を受けて損失を軽減することができます。ですので投資家は安心して購入することができます。
質問3)中国に住んでいても日本で家を買うことはできますか?外国人が日本で住宅を購入する場合、どのような制限がありますか?
日本の投資環境はとてもオープンなもので、家の購入でも何ら制限はありません。海外の投資家を含む中国の投資家にとって、日本で家を購入することは、対応する税金や手数料を含め、地元の住民とまったく同じです。
質問4)海外の投資家が日本で住宅を購入する場合、どのような手続きが必要ですか?また住宅購入のためのローンは組めるのでしょうか?
中国人であれば、身分証明書、公証書、委任状を提出するだけで、日本の不動産に投資することができます。
日本の身分証明書を持っていない外国人にとって、自分の名義で家を買うためのローンを組むことは困難です。個人の信用状態の証明や納税証明などの面倒な書類が必要なだけでなく、安定した職業に就いていることや、融資額に制限があることなどが挙げられます。借り手が外国人である以上、日本の銀行はより多くのチェックを行う必要があります。外国人から提供された書類の真偽を審査し、外国人の返済能力を適正に判断することほぼ不可能です。
ただし日本で会社を設立できる方であれば、法人名義でローン申請することは可能です。
ローン申請では、外国人が日本で購入しようとしている不動産の価値が審査されます。日本の銀行は外国人は日本の銀行から50~60%ほどの融資を受けることができ、融資の金利は1.5%ととても低いものです。
質問5)日本で不動産を購入する際、ビザの有無に関わらず、入国審査を受けることは可能ですか?
日本は移民国家ではありません。ですので子供の教育や老後の福祉を受けるために日本に長く住みたい場合は、経営管理ビザで日本への移住を済ませ、もし不動産を購入した場合は、その不動産の賃貸収入を会社の売上にしてビザの更新手続きを行う方法があります。
質問6)ここ数年、国際的な機関投資家や個人投資家が大阪で不動産投資を行う理由や、大阪の優遇政策などがあったら教えてください。
海外の投資家が日本に投資している理由はいくつかありますが、1つ目は、安倍元首相が就任してから、日本への観光客数が年々増加しており、2019年には3,100万人を突破したこと。また日本第二の都市である大阪は、日本に来るインバウンド観光客の約46%を占めており、直接的に経済効果が得られる都市であることです。
2つ目は、投資家が大阪の今後の発展に強気な姿勢を見せていることです。なぜ大阪の街が投資家に好かれているかですが、これは主に、同市の素晴らしい都市計画と将来的な発展の見通しによるものだと分析しています。今後30年間は、日本の大阪への投資の黄金期になるかもしれません。複数の大規模プロジェクトが完成すれば、世界中の観光客がこの都市を訪れ、地元の不動産と賃貸市場に大きな活力をもたらすことが予想されます。
完全に停滞している地方都市とは異なり、大阪の都市計画は街に命を吹き込み、以下のこれらのランドマークの完成によって大阪の都市景観が一変するでしょう。
- 2021年 大阪中之島美術館完成
- 2022〜2023年 大阪府が大阪都構想のバージョンアップ
- 2022年 星野リゾート OMO7 大阪新今宮
- 2023年 関西空港国際線エリアの大規模改修工事終了
- 2024年 大阪IRメトロポリス複合観光施設
- 2024年 梅田ツインタワーズ・サウスプロジェクト完了
- 2024年 日本国際博覧会
- 2025年 大阪万博
- 2031年 なにわ筋線運行開始
近い将来、大阪で開催されるビッグイベントやプロジェクトは、大阪の大きな可能性を垣間見るのに十分ではないでしょうか。不動産投資の観点からは、このような大きなイベントやプロジェクトがあるため、大阪の不動産に対する需要は多く、人口の流動性も高く、安定した投資が可能です。投資家は短期的な変動を気にする必要がなく、継続的な家賃収入はもちろん不動産価格の上昇でリターンを最大化することができます。
日本のコロナ禍が緩和され、ワクチン接種も進んだことで、日本第二の都市である大阪には多くの観光客がやって来て、民泊業界にも活気が戻ってきそうですし、大阪の優良物件を割安で購入するには、今が絶好のチャンスなのです。

質問7)日本でのコロナとワクチン接種状況、それと通常の入国手続きに戻るタイミングを教えてください。
現在のコロナの状況はまだ深刻ですが、ワクチン接種がだいぶ軌道に乗ってきたのは良いニュースです。
使用されるワクチンは、5月21日に厚生労働省から承認されたモデルナ社が米国で製造するものです。ほとんどの人がこの冬にはワクチン接種を終えているでしょうから、日本での今後の状況については楽観的に見ています。
日本政府は最近、ワクチンを接種した人は通常の観光客よりも数ヶ月早く日本に入国できる「ワクチンパスポート」の普及に乗り出しており、このパスポートの保有者であれば入国可能になるのは9月頃になると予想されています。
質問8)民泊ビジネスに投資するために大阪を選んだ理由は?
まず、はっきりさせておかなければならないのは、コロナウイルスの流行は一時的なものに過ぎないということです。現在、日本の民泊や観光産業はコロナによって大きな影響を受けていますが、長期的に見れば、観光産業の見通しはまだ非常に楽観的であり、民泊業は観光業の発展とともに上昇していくでしょう。
統計によると、2015年〜2019年の5年間で、外国人観光客は600万人以上から3000万人以上に急増し、そのうち中国人観光客は100万人未満から一気に800万人以上に増えました。たくさんの中国人観光客が日本への旅行を好み、ショッピングや観光を楽しんでいます。そして大阪は、365日民泊が運営できる唯一の都市です。
大阪の民泊物件は今が底値、投資の絶好のチャンスだ
確かに現時点では日本に渡航することはできません。すでに日本で民泊型不動産の資産を保有している投資家にとっては、今のところ民泊を通常の長期賃貸に変えることしかできず、2年前ほどのリターンは得られていません。
しかし現金資産を保有している人にとっては、今が底値の絶好のチャンスです。
不動産はコロナ前に比べて多くの物件が値下がりしており、中には30%以上も値下がりしているものもあります。ですのでインターネットに物件情報が掲載されるとすぐに買われてしまう状況です。
しかし家賃収入保障型の投資物件と名を売って割高に販売されているものもありますし、何軒買えば日本のビザがもらえるなどと宣伝している悪徳仲介業者もあるので細心の注意が必要です。
人口とGDPで大阪は東京に勝てないが外国人観光客の数は同レベル
GDPは東京に次いで2番目の大阪ですが、GDPでも人口規模でも大阪は東京とは比べ物になりません。しかしながら、この2つの大都市は、毎年どちらも1000万人程度の外国人観光客を受け入れています。このため大阪ではホテルが足りず、日本政府はホテル不足を補うために、大阪に特区民泊(365日営業可)という政策を適用しています。
さらに大阪にはカジノや万博といった、民泊やホテルの需要が今後大きく伸びる理由がいくつもあります。民泊物件に投資するのであれば、やはり大阪一択と言えるでしょう。民泊物件以外では大阪は東京に比べて大きな優位性はありませんが、不動産価格は大阪の方が東京よりも3分の1ほど割安です。
今年の初めに、大阪市営メトロが税金で建てたばかりの民泊ビルをわずか30%ほどの値段で売却すると発表し、議論を呼んだ「優良物件」があります。このビルは大阪市浪速区にあり、国内外から多くの観光客が訪れる「新世界の通天閣」近くの好立地に建っています。


大阪市民にとっては血税がまた駄遣いされたという悪い知らせでしかありませんが、「移民幣」はこの千載一遇のチャンスを逃すまいと中国国内の投資家に宣伝しました。大阪市政府から運営権を奪う機会は、今後10年先まで出会えないからです。
最後に「移民幣」から皆様に1つだけアドバイスしておきます、「魅力的に見えたら即決すべし!」。
おわり
2019年の初夏のある日、東京で中国人超富裕層向けの不動産仲介業を営む中国人弁護士と麻布にあるイタリアンレストランでランチを取った後、別れ際に彼が「来週は中国の社長さんたち14名を連れて北海道の別荘見学です。皆さんプライベートジェットで北海道に向かうんですよ」と嬉しそうに私に言いました。
お金が余ってしょうがない超富裕層の方たちは、東京や大阪の民泊ビルなどには見向きもせず、都会の喧騒から遠く離れたニセコの大自然を目指すのでしょうね。