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リーズーチー所属のエージェントも杭州、中国のインフルエンサーはなぜ杭州に集まるのか

ライブコマース

今回は中国メディア「i黒馬」の「杭州にはなぜ網紅が多いのか」という記事を紹介します。

その前に杭州という街について簡単に説明しておきます。

上海の南西170キロの位置にある杭州市は、人口1000万人を抱える浙江省の省会(県庁所在地のようなもの)で、アリババが本社を構え、傘下のグループ会社も市内に点在している。

市中心には西湖があり、湖畔には山が連なる、いわゆる「有山有水的好地方」、当然観光地としても有名です。

記事の内容はこんな感じです。


私たちがフォローしている多くのインフルエンサーは、過去にどこで活動していたかに関係なく、最終的にはみんな杭州に向かうようです。

薇娅

「薇娅」は杭州で起業したし、元祖タオバオモデルである「张大奕」と「雪梨」はそれぞれ杭州にほど近い上海と温州の生まれだが、今は杭州で活動している。「李子柒(リーズーチー)」のエージェントも杭州にあるし、今年5月には「罗永浩」も北京から杭州に移って「交个朋友直播间」のライブストリーミングスタジオを作った。

最近「王思聡」の第何番目かの彼女として話題になったネットアイドル「孙一宁」も杭州で活動している。

※王思聡は、万達集団の会長「王建林」の一人息子。昔からネットアイドルとの噂が絶えない。

孙一宁

「王思聡」との親密な関係がネットで暴露された直後の「孙一宁」のライブストリーミングを見てみると、フォロワーが200万人増え、10万人以上が投げ銭をした結果、合計金額が705万元(1.2億円)に達した。

数時間のライブストリーミングで「億を稼ぐ」インフルエンサーの時代が到来したことを如実に物語っているデータではないでしょうか。

これらの圧倒的な生産性を持つ人たちが「どの都市で活動するか」を選ぶ時、なぜみんなそろって杭州を選ぶのか。

罗永浩

ネットアイドルがどこで活動をスタートしても最後は杭州に向かう

杭州市内の湖滨银泰(歓楽街)で「石を投げればネットアイドルに当たる」は決して大袈裟な表現ではないようです。事実、中国国内のインフルエンサーの半分は杭州で活動している。

杭州の中心地に行ってみると、街のあちこちでライブコマースが行われ、どこに行ってもネットアイドルを見かける。

地下鉄構内はタオバオモデルが着る最新服で着飾ったファッションリーダーたちで溢れ、流行のコーヒーショップには自信に満ちたスタイルの杭州女子が集まる。夜に西湖のほとりを散歩していると、道の端っこにスマホのスタンドを立ててスマホに向かって語っているブロガーを見かける。

大物インフルエンサーが続々と杭州に集結

「罗永浩」は杭州で暮らすための広い別荘を探しているし、「大码女装」のイメージキャラクターを務める「杨天真」は14年間のタレントエージェントとしてのキャリアに別れを告げ、杭州でネットアイドルを使ったライブコマース事業を行うため「杭州壹毫不苟品牌管理有限公司」の設立を発表した。

杨天真

知名度に関係なく多くのインフルエンサーたちが杭州に集まってくる理由は、国内の主要な大物インフルエンサーを抱えるMCN(マルチ・チャンネル・ネットワーク)エージェントのほとんどが杭州にあり、業界の専門的なインキュベーションやオペレーション業務を任せる環境が整っているからだ。

2020年、中国のMCNエージェントの数が2万社を超え、2年間で約4倍に

浙江省人民政府情報局が2020年に発表した数字によると、国内最大のEコマース取引量を誇る杭州には、全国の60%のMCNエージェントが集まっているという。

杭州にある国内トップレベルのMCNエージェントをいくつか紹介します。

まずはナスダックに上場している中国ナンバーワンMCNエージェントの「杭州如涵」。タオバオライブコマースを配信するトップインフルエンサーであり社長でもある「张大奕」と200名を超えるKOLたち、ティックトックでショート動画を配信する「温婉」などが属する国内屈指のトップエージェント。

「如涵」は2019年にナスダック上場を果たした

次にトップコマースライバーである「薇娅」と200名のKOLを抱える「杭州谦寻文化」。「薇娅」は現在、月に20本以上、1本あたり4時間の配信を行う。1本で2000万を超えるビューがあり、売上額が1億元(16億円)を超えることも。

そして世界的に有名な農村系ユーチューバーである「李子柒」(リーズーチー)、「创造营2020(プロデュース2020)」の「林小宅」、「方媛」、「阿沁」が属しているのが「杭州微念」。

「李子柒」(リーズーチー)がそうであったように、エージェントからオファーを受けて杭州で事業を始めるインフルエンサーもいれば、無名のネットアイドルがより多くのチャンスをつかむために杭州に向かうケースも多い。

李子柒(リーズーチー)

杭州にはインフルエンサーの成長に適した環境が揃っている

Eコマースの聖地である杭州は、1999年に国内最大のインターネット企業であるアリババが誕生した場所であり、それからタオバオ全盛期を迎え、さらに現在のインフルエンサー時代へと発展してきた。

淘女郎(タオバオモデル)の第一世代は杭州で生まれた。

インフルエンサー経済は、2016年の第一世代である「张大奕」、「雪梨」、「林珊珊」から始まった。彼女らはいずれもタオバオ店舗の運営からスタートし、自分たちがタオバオモデルの第一世代となった。

その後、時間をかけてインフルエンサーに変化していきました。Eコマースであろうと、初期のタオバオモデルであろうと、これらはすべてはアリババが杭州に与えた遺伝子です。

そんな第一世代の人たちはすでに大御所になっていて、インフルエンサー業界の発展と変化がいかに速いかを物語っている。

タオバオに続き「ティックトック」、「快手」、「ビリビリ動画」、「小紅書」などのSNSプラットフォームの出現により、インフルエンサーの活躍の場と表現方法がより豊かになっていった。

コマースライバーであれば「李佳琦」と「薇娅」で決まりだし、多くのファッションブロガーや美容ブロガーはビリビリ動画で日常生活を公開し、ティックトックでショート動画を作り、小紅書で服やアイテムの詳細を紹介することで、より多くの人にリーチするができ、インフルエンサーの影響力は拡大の一途を辿る。

「李佳琦(リージャーチー)」が「拉面説」をライブ販売している

※「拉面説」についてはこちらで詳しく解説しています。

インフルエンサーたちがより長期的に成長したいと考えた時、エージェントとの契約を検討したり、自分で起業することを検討したり、さらには仕入先、人、モノ、現場までの距離や効率的な運営方法を検討したりするでしょう。

企業にとってはコスト面だけでなく、ビジネス環境、人材確保などの地方政府による支援が重要になってきます。物価、人材コスト、サプライチェーン、配送サービスなどを考えると、杭州ほどオンライン経済に適した都市はないのではないでしょうか。

杭州はライブコマースの専門人材が豊富でコストも低い

急成長が続く業界では、企業は優秀な人材の確保が急務とされます。しかし会社が杭州にあれば、これは大した問題ではないかもしれません。

実は「罗永浩」の「交个朋友直播间」スタジオが北京から杭州に移る最大の理由は、チームの拡大を図るためでした。杭州で300人の人材を募集し、わずか1ヶ月でチームは当初の2倍の600人に拡大したのです。

これは北京や上海ではほぼ不可能で、たとえ実現できたとしても、最低でも2倍の時間とコストがかかることになります。

つまりライブコマースの豊富な専門人材こそが、全国のインフルエンサーやMCNが杭州を選ぶ、最も重要な理由なのです。

まだ歴史が浅く、そして急拡大している業界では、人材の希少性は避けられず、実務者たちのほとんどは20代の若者だ。大学卒業後に杭州のEコマース業界で働くことを選ぶ学生は大勢いる。ある人は会計、ある人はグラフィックデザイン、MCNの運営をする人もいる。

これらの若者が杭州を選ぶ背景には、杭州市政府が若者を引き留めるために様々な雇用補助や住宅補助を行っているからです。今年2月3日の杭州市政府の報告によると、杭州は2020年、35歳以下の大卒人材を43万6千人迎え入れ、人材の流入率は全国1位でだそうだ。

それだけではありません。杭州市政府はライブコマース業界に補助金を出していて、各セグメントで売上ランキング上位のインフルエンサーやMCNエージェントに対して、最大500万元の報奨金を出すなど様々な補助金制度を設けています。

昨年、杭州市の商務局は、同市でのライブコマース経済の発展を加速するために「2022年までに1000のライブコマース・ブランドを発掘し、100人のトップインフルエンサーの杭州への移住を促進し、1万人のライバーを育成する」ためのプランを発表しました。杭州がライブコマース産業を発展させるために補助金と政策の両面で強く後押ししています。

ライブコマースでは生産工場に近い場所が有利

杭州市を囲むように数多くの産業地点、物流倉庫、メーカーやサプライヤーが点在しています。

例えば「杭州四季青」の女性服通り、「海宁」の革製品、「温州」の革靴、「诸暨」の靴下、「嵊州」のネクタイ、「义乌」の小物市場、各街のブロック経済と「桐庐」の強力な物流サービスが、成長を続ける杭州のライブコマース産業の基盤となっているのです。

インフルエンサー経済がもたらす杭州の産業チェーンは今後も拡大する

振り返ってみると、杭州は、アリババに始まり今日のインフルエンサー経済に至るまで、インターネットのメリットを最大限享受してきた都市です。

大きな影響力を持つインフルエンサーが集まれば、彼らを支える産業も急発展するはず。例えば、杭州の美容医療やナイトクラブ経済は、過去2年間で大きく上昇しています。Eコマースの聖地である杭州は、美容医療の聖地、そしてエンタメの聖地として、街全体がゆっくりと多様な展開を見せています。

もちろんテクノロジーやハイテク産業の強みも失っていません。

杭州には、国内でもトップレベルのユニコーン企業があるのです。「丁香园」、「网易严选」、「曹操出行」、「钉钉」、「口碑」など31社のユニコーン企業と142社の準ユニコーン企業があり、すべての企業の評価額は3100億元を超える。

杭州は今後もライブコマース人材やインフルエンサーにとってますます魅力的な街になり、そしてより多くの優秀な人材が集まってくることになるでしょう。

いずれにしても、すでに杭州にいるか、今後、杭州に向かうかのどちらかです。

おわり


記事内で「タオバオモデル」と訳した部分がありますが、簡単にいうと、タオバオや天猫ショップ内で最新の服を着て微笑むファッションモデルのことです。

動画アプリ(ライブコマース)が出現していなかった時代は、写真でアイテムを見せるしかなかったため、杭州には星の数ほどのフォトスタジオがありました。カメラマンが撮影したファッションモデルの写真は別のスタッフが丹念にPhotoshopで加工し、店舗管理者によってタオバオ店舗にアップされます。

一昔前このような業務をしていたフォトスタジオが徐々に動画撮影、そして動画配信事業に切り替わっていったのがライブコマースMCNの歴史です。

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