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日本のビジネスホテル王はアパ会長、では中国のビジホ王は?それはシートリップの創業者だった

数年前、中国からの訪日インバウンド旅行が活況だった時期、日本の旅行関係者の間で広く知れ渡った中国の旅行代理店がある。その会社は上海を本拠地とするシートリップ(ctrip、中国語名は携程)。日本やアメリカではTrip.comのブランドで運営している。

シートリップを創業したのは季琦(リーチー)と3人の仲間。リーチーは15年の間に4回の上場を果たし、数百億ドル規模の資産で世界的大富豪として名を連ねている。今回は「創業の父」の異名を持つリーチーのサクセスストーリーです。

出張の経験からシートリップを創業、5年後にナスダック上場

上海の北に位置する江蘇省南通市にほど近い村出身のリーチー、貧しい家庭環境にありながら猛勉強の末、上海交通大学と大学院を卒業し、アメリカに渡った。

リーチーの大学の同級生である吴炯(ウージョン)は、当時オラクルに勤務していたが、毎日定時に出退社し、同じような日々を過ごすウージョンを見て、リーチーは、これは自分の望む生活ではないと確信し、中国に戻ることにした。

帰国後、北京英華社(中国の大手法律事務所)で華東地区の総経理を勤め上げ後、協成科技公司という会社を設立してシェアードビルディング事業を始めた。ある日、上海西の郊外の観光地、西塘の見晴らしが良いレストランで大学時代の友人である梁建章(ジェームスリャン)と食事をしていた。話題が出張時の航空券予約やホテル予約になった時、この問題を解決するために仲間4人で事業を立ち上げる決意をした。

まもなくしてリーチーは、徐家匯(シュージャーホイ)に200平方のオフィスを借り、4人でシートリップ創業の道を歩み始めた。

当初のアイデアはオンラインで旅行ツアーの航空券を売李、ついでに旅行パッケージを買ってもらう予定だったが、1999年当時、インターネットの普及率はそれほど高くなく、従来のチケット販売店や旅行代理店の相手にはならなかった。

リーチーが航空券の予約からチケット、ホテルの予約までの様々なサービスを自分で試してみたところ、ホテルの部屋予約サービスを安定して提供できるホテルが非常に少ないことがわかった。

リーチーはこのチャンスを見逃さなかった。すべての営業力をホテル予約に投入し、当時有名だった代理店「商之行」を買収、大量の顧客リストを獲得したことで、シートリップでのホテル予約量が一気に増加した。リーチーたちは1200万米ドルの融資を受け、シートリップの経営基盤をより一層強固なものにした。

現状に甘んじることなくひたすら若き日の夢を追うリーチー

2003年、シートリップは、新浪、網易、捜狐の3つのインターネット大手に次いでナスダックに上場し、その年の利益は1億7300万ドルを超えた。シートリップの設立から上場までわずか5年しか経っておらず、リーチーは100億ドル以上の資産を持つ大富豪の仲間入りを果たす。

実のところ、大学院を卒業し、アメリカからの帰国で箔をつけたリーチーは、同世代の人たちよりも仕事の機会に恵まれ、職場でも部長クラス以上のポジションを得ており、多くの人から羨望の眼差しで見られていた。

誰もが彼を羨む中、リーチーは常に冷静で、自分がどんな未来を望んでいるのかを明確に把握しており、当時の状況はすべて一時的な蓄積に過ぎないと考えていた。

多くの人が羨む高給や安定した生活に甘んじることなく、若き日の夢を抱き、迷うことなくそれに打ち込み、鋭い洞察力で市場を的確に位置づけ、資源を合理的に統合し、発展の方向性を素早く決定し、自信を持って堅実に事業を進めた結果が、5年でのシートリップのナスダック上場である。

ユーザーの声を聞いてビジネスホテルを開業、再びナスダック上場へ

リーチーはシートリップのユーザーレビューで「シートリップのホテルは高すぎる」というコメントを見かけたが、この問題の重要性を十分に理解しておらず、ホテルを開業するは考えていなかったが、別の問題が浮上してきた。シートリップのサービスの空洞化である。

この問題を解決するため、2002年、リーチーたちは自分たちでビジネスホテルを作ることにした。

如家の簡素だが清潔感がある部屋が人気となる

ホテルの開業は彼らにとって全く新しい分野であるため、リーチーは「お客様の立場に立って考えなければならない」と考え、巻き尺、カメラ、ノートを持って実地調査を開始した。彼は、錦江之星(ジンジャンスター)をはじめとする上海のあらゆるビジネスホテルに宿泊し、部屋の広さを測り、タオル掛けの位置、石鹸やシャンプーのブランド、ツインルームとダブルベッドの距離、携帯電話の充電器の位置など、宿泊施設の細部に至るまで自身で体験した。

それだけではなく、チェックインやチェックアウトの際にスタッフと会話する機会を探し、基本的なオペレーションやお客様の流れ、飲食の提供方法なども学んだ。

検証の結果、リーチーは、ほとんどの出張者や観光客が受け入れられるルーム料金は300元(5000円)以下であることを発見した。標準的なサービスへの要件はそれほど高くなく、重要なのは清潔感があり快適な空間であること。スイミングプールやジムは必要なく、朝食もシンプルで栄養価の高いものであること、これらの基準に基づき、リーチーはすぐに「如家」ビジネスホテルグループを構築し、価格は上限を298元とした。

シートリップのすべての顧客情報は如家と統合され、シートリップのウェブサイトのトップに表示されるようになる。

この強力なwin-winの組み合わせにより、如家の利益は20%で安定し、シートリップの売上は10億元を超えた。4年後、如家の国内店舗数は100を超え、年間利益成長率は50%を超え、総売上高は2億4900万元、純利益は2700万元となった。

2006年、リーチーは、如家のナスダック上場で二度目の鐘を鳴らした。中国のホテルブランドが海外で上場した最初の例となる。

シートリップと如家の成功により、リーチーは巨万の財産を築き、会社設立当初の夢を実現することができた。彼の残りの人生はシートリップをうまく維持している限り、何の心配もないのだが、リスクを取るために生まれてきたリーチー、彼の溢れ出るエネルギーはとどまることを知らなかった。

ユーザーレビューでサービス運用の問題点とビジネスチャンスを見つけられるのは、リーチーの視野がシートリップに限定して一点の問題を解決するのではなく、シートリップを円の中心に据え、そこから自分の事業範囲を広げ、問題点からチャンスを見つけているからだ。

私たちは、目の前の成功や利益に惑わされて、遠くの美しい景色を無視してしまいがちである。

2つ目のビジネスホテルブランドがナスダック上場、人生三度目の打鐘

そんなリーチーでも困難や混乱に遭遇している。如家の快進撃は続いていたが、運営理念の違いから、リーチーは如家の経営から一度は去らざるを得なかった。

2年後に如家の経営に戻ったリーチーは、如家では成し得なかった目標を漢庭ブランドの買収で解決しようとした。

如家より少しだけ高級感と広さがある漢庭のルーム

当時、如家とライバルの「七天」との競争が激化しており、リーチーは全国に散らばる独立型ホテルに対し、漢庭チェーン店への加入交渉を重ね、その後、多くの独立型ホテルは簡単な改装を経て漢庭ブランドに変更していった。

驚くべきスピードで拡大し、1年後には全国で1000店舗になっていた。

急ピッチでのブラインド拡大は、大小多くの問題をもたらした。水漏れ問題、カビ繁殖問題、サービス品質問題、基準を満たさない電気水道ガス菅品質問題、顧客からのクレームが止まることはなかった。また、地方都市の漢庭では、賃貸価格の上昇による立ち退き問題なども発生していた。

リーチーはこれらの問題の深刻さに気づき、経営戦略を調整した。彼はすぐに、不採算店はすべて閉鎖し、低コストの物件に入れ替え、さらに金融危機(リーマンショック)を利用して、社内で著しく成績が悪い社員を排除するシステムを立ち上げ、人材やチームの質を向上させた。

この時期、リーチーは、あのマイクロソフトの共同創業者であるポールアレンとじっくり話し合う機会があり、ポールの「規模は重要ではなく最も重要なものは品質である」という言葉に目が覚め、以降の漢庭の経営に生かされるようになる。

リーチーは漢庭を上級なビジネスホテルに位置づけ、バスルームやマットレスをアップグレードし、高品質WIFIを導入し、さらに公共エリアに無料のコンピュータ、プリンター、ファックス、コーヒー、書籍などを配備し、より快適な空間を求めるビジネスマンをターゲットにした。

2010年3月、シートリップの売上が20倍、如家が3倍になったとき、リーチーは漢庭で人生三度目のナスダック上場を果たした。

漢庭を上場させるとリーチーは、親会社の名前を「華住集団」に改名し、さらに傘下にあった四季、桔子、星程、花间堂、禧玥の中高級型ビジネスホテルを揃え、様々な層の出張ビジネスマンと観光客の宿泊ニーズを満たすための態勢を整えた。リーチーは経営理念として85点の原則を掲げている。つまり、85点は品質改善でどうにかできるが、残りの15%は市場に委ねる、というもの。あらゆる人々のニーズを満たすことは無理だが、常に改善を重ね、市場の要求に応えてバランスを取るしかない。

コロナの影響を受け、世界のホテル業界は低迷していますが、華住集団によるホテル経営状態は絶好調である。2020年3月四半期の売上諸表を見ると、華住集団のホテルの売上高は、前年同期比7%増、純利益は前年同期比3.4%増となっている。

同年、香港証券取引所でリーチーが人生4度目の鐘を鳴らし、華住集団は香港に上場した。

おわり


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