「中国の熱い越境ライブコマースの始まり、乗るしかないこのビッグウェーブに(上)」の続き
ティックトックECの越境事業はブランドに何をもたらすのか?
ティックトックECの越境事業を活用することで、多くの越境ブランドがビジネスを加速させている。
ビジネスの本質に立ち返ると、それは実は「価値の創造」と「価値の提供」という2つの言葉になる。この本質を踏まえて、中国の消費者のニーズを十分に理解していれば、あなたのビジネスは「雪だるま式」に成長していくだろう。
例えば、95年代以降、00年代生まれの大きな特徴として、自己満足のための消費がある。多く人が、基本的なニーズを満たすためにモノを買うのではなく、自分がより幸せになるために、楽しくなるために、そして上手に使うためにモノを買うようになった。ティックトックの多くの若者の消費概念、習慣、興味は、前世代のものとかなり異なる。
この「潜在需要」を発見すれば、市場の可能性は無限に広がるだろう。例えば、出張でホテルに泊まる人の多くは、ホテルのケトルの衛生状態を気にしているが、出張先に電気ケトルを持ってくる人はいないだろうし、とても不便だ。
あなたはティックトックを見ていて、偶然、インフルエンサーが携帯用のケトルを紹介している動画が目に入り、小さく精巧な作りな上、簡単に折りたたむことができるのを見て、注文することにした。これは実際にニーズが発見されて満たされた典型的なケースだ。
または、ティックトックを見ていて、外国人が自分の好みのデザインのノイズキャンセリングヘッドセットを紹介している動画で、スタイルやデザインがあなた好みで、人ごみの中でもおしゃれに見え、さらに国内では見つからないというアイテムだったため、購入を即決したという例もある。
これらすべて「興味EC」の縮図である。
Swisseという有名なブランドがあるが、このブランドは消費者の真のニーズを理解し、ティックトックの越境EC事業の助けを借りて大きな成長を遂げた。
Swisseは、グレープシードタブレット、カルシウムタブレット、フィッシュオイルなどを主製品とする、有名な越境ヘルスケアブランドである。
EコマースのCMIディメンション統計において、今年上半期、Swisseはヘルスケア製品で1位となり、市場全体の約8%を占める。
海外日用品ブランドとして、この数字はとても有望なものだ。しかし、その背景には、Swisseが「自分へのご褒美消費モデル」を理解し、独自のビジネス方法論を持っていることがある。

1つ目は、ターゲットペルソナが明確で、ポジショニングを理解していること
Swisseは10年以上にわたり、25~35歳の中国女性をメインターゲットとすることを目標としてきた。Swisseの製品は異なる年齢層をカバーしており、主にオーラルビューティー、ファミリーヘルス、機能性栄養、妊婦の4つのカテゴリーで構成されており、女性が主な消費者層となっている。
例えば、高齢者向けの健康商品を購入する場合、高齢者は商品を楽しむが、購入の意思決定や購買行動は25~35歳の女性が中心となる。
つまり、この10年間、Swisseのターゲット層は変わっておらず、変わったのは、時代とともに生まれた新しいニーズだけなのだ。
2つ目は、ターゲットユーザーの興味を見つけること
Swisseのティックトック・アカウントの運営責任者であるWilly氏によると、Swisseが今年の初めにティックトックECに参入し、わずか半年でティックトックECはブランドの重要なチャネルの1つになったそうだ。
Willy氏は、販売チャネル全体の売上の70%を占めるブランド自身が運営するライブストリーミングを重視しており、この点で蔡華氏とは異なる考え方を持っている。
Willy氏は、インフルエンサーによるライブコマースはブランドのスケール効果を素早くもたらすことができるかもしれないが、ブランドによるライブコマースであれば、消費者とのより強い結びつきを作り、消費者と直接コミュニケーションを取り、より多くのファンをを生み出すことができると考えている。
「興味EC」では、Willy氏は数名のトップインフルエンサーではなく、多数のミドルインフルエンサーに注目している。なぜなら彼は、ティックトックは「大衆向けEコマース」ではなく「ニッチ用Eコマース」であると考えているからだ。
彼らはティックトックECツールの一部を使って、さまざまなタレントのユーザープロファイルを分析し、男性と女性のフォロワーの比率などの統計を取り、ユーザーの「興味タグ」に合わせて適切な商品を選択している。
これらは「興味EC」を細分化したものだ。また、演出やライブ配信、クリエイターの才能なども含まれる。「興味EC」のポイントは「興味」であり、その成功の裏には無数の詳細な要素がある。
これらのアカウントがメディア・マトリクスを形成できれば、それはSwisseの強力な「フォーカス・チャネル能力」となる。
3つ目は、データの見直しが必要であること
以前に聞いたことがあるという方も多いかもしれないが、一部のECプラットフォームでは、消費者が商品を閲覧する際、どこで最も長い時間を費やし、どこで飛び出し、どの部分を見て購入に至ったかなどのデータをブランドに提供することで、ブランドのプロモーションページの調整が可能だ。
ティックトックECもまた、ブランドにライブストリーミングの1分ごとのセリフ、商品の配置、ライブストリーミングの背景設定、音楽設定など、運営の最適化に役立つデータを提供している。
上記の3つのおかげでSwisseは急成長している。
従来のECは「ニーズ、検索、購入」の「商品棚ECモデル」であったが、ティックトックECは「興味、マッチング、ニーズ、購入」の「興味ECモデル」であり、ブランドによるビジネス創出に役立つ。
これはつまり「雪だるま式」の成長モデルだ。越境EC企業にとっては、ポジティブに考える価値があるのではないか。
Willy氏によると、今年の5月、ヘルスケア製品のナンバーワン・ブランドであるSwisseは、ティックトックECのイベントに参加したところ、1日の売上増加率が700%を達成したという。先日行われた海外輸入商品ウィークのキャンペーンでは、Swisseの流通取引総額が574万元を超え、越境ブランドの旗艦店として第1位となった。
「興味ECモデル」と「海外輸入商品ウィーク」などの越境事業イベントが、Swisseのような越境ECブランドに大きな利益をもたらしている。
今後またティックトックECプラットフォームで越境EC事業イベントが開催される場合、積極的に参加したいとWilly氏は語っている。
おわり