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成都に根ざして20年以上のイトーヨーカドー タイムマシン経営の先にいけるのか

イトーヨーカドー成都

中国メディア「華商韜略」から「成都・春熙路の歩行街で人気モールは世界的な小売業大手である日系企業、人気の秘密は?」を紹介します。


「新型ウイルス」と「ネットスーパー」という2つの「世界的な流行」には、世界トップクラスのスーパーマーケットですら大苦戦している。

従来の小売業は茨の道だ。

そんな中、ほとんど「流行」の影響を受けておらず、勢いが増している小売店がある。成都で20数年、地元に根付いた事業で、周辺の不動産価格にも影響を与えているという。

成都出身の方であれば、どの小売店のことか分かるのではないだろうか。

そう、この小売店は逆境にあっても成長を続け、成都に次々と新店舗を展開している。イトーヨーカドーだ。

イトーヨーカドーは成都の人々の生活に欠かせない存在だが、成都以外でイトーヨーカドーの名前を知っている中国人はほとんどいない。

中国のイトーヨーカドーは、確かに成都の地に根付いているが、逆境下での成長と斬新なコンセプトは、中国の小売業界に新しい刺激を与えているのは間違いない。

1920年に日本で創業したイトーヨーカドーは、「スーパーマーケット+デパート」という形態の食料品店としてスタートした。日本では、ワンストップショッピングの手法で順調に拡大した。

百貨店、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、金融事業などを展開するイトーヨーカドーは、1990年代後半には世界のトップ500企業に35位でランクインし、日本最大の小売業となった。

上海や北京ではなく成都にいち早く進出したイトーヨーカドー

1997年、イトーヨーカドーは成都に進出し、第1号店となる「春熙路店歩行街」で、外資系大型ショッピングモールとしては初めて成都に進出した。

イトーヨーカドーは、日本の典型的なGMS(大型総合スーパー)であり、従来のスーパーと百貨店の機能を備えている。

当時まだ国有企業が多かった成都では、イトーヨーカドーのサービス重視の姿勢、そして従来のスーパーにはなかった無料のキッズスペース、ベビーカー、セルフサービスの荷造りベルト、洗面所の無料ドライヤー、化粧台、悪天候時の傘の貸し出しサービスなどが地元の消費者に受けた。

また、イトーヨーカドーの中高価格帯の商品のポジショニングは、従来のスーパーマーケットの「価格競争」を回避し、輸入食品やブランド品が目玉となっている。

さらにイトーヨーカドーは自社ブランドの育成にも力を入れており、仕入先のチャネルを開拓することで、コールドチェーン(低音物流)商品や生鮮食品を直接トレースできるようにし、消費者の食の安全を直送品で確保している。

イトーヨーカドーは20年間で成都に8店舗まで拡大し、2012年には世界のイトーヨーカドーの売上高トップ5のうち4店舗が成都の店舗で、2019年には売上高60億元(960億円)と過去最高を記録した。

成都で成功したイトーヨーカドーだが北京では敗退

しかし、成都とは異なり、北京の店舗は何度も閉店の憂き目に遭っている。2014年、イトーヨーカドーは北京の3店舗を閉店したため、現在は北京には1店舗しか残っていない。

成都での成功体験は、北京ではあまり役に立たなかったようだ。

同時に、北京店舗の「失敗」は、イトーヨーカドーの経営者たちに、一級都市の市場が必ずしも最良の選択肢ではないと気づかせた。

実際、イトーヨーカドーが北京で失敗したのは偶然ではなく、市場でのポジショニングが不明瞭で、価格面での優位性もなかったため、すぐに市場を開拓することができなかったという原因がある。

成都での成功は、成都の人々のニーズを捉えた緻密なコンセプトにある。言ってしまえば、成都での成功は1つの時代の産物でしかない。

小売業を20年間残すことができる大都市は成都以外にはないのではないか。

消費者マインドの変化には時間差があり、イトーヨーカドーの「スーパー+デパート」モデルの魅力はかつてのようにはいかない。

イトーヨーカドー成都店の商品やサービスは、まだ消費者のニーズを満たすことができると思われるが、小売市場がテクノロジーによって強化され、徐々に細分化・多様化(パーソナライズ)していく中で、商品の新旧維新、小売市場の改良は当たり前になっていくだろう。

イトーヨーカドーが成都以外の都市に展開できるかどうかは重要なことではない。重要なのは、イトーヨーカドー成都店のようなリテールブランドが、この変化する時代の中で、いかにして突破口を開き、時代に追従し、さらには時代をリードしていくかということではないだろうか。

おわり


2008年に自分が上海で共同起業した当初、私とパートナーは、営業活動の一環として上海にある様々な日系コミュニティに参加していた。県人会はもちろん、ビジネス交流会、起業家会、火鍋会、B級グルメ会、短歌会など、目的は繋がりであったため、お題はなんでもよかった。

交流会では様々な業界、異なる世代の日本人と会話することになるのだが、当時は製造業に従事している日本人が多く、皆口々に「中国は日本の10年遅れだね」「うちの業界は20年だ」と言っていた。

私は共同起業しながら、同時に上海にある米系IT企業にも勤務していて、少なくともIT業界においては中国が日本に遅れているという感覚はまったくなかった。むしろIT人材の層の厚さに圧倒されていた。

在日韓国人によるタイムマシン経営

ロッテの創業者「重光武雄」はタイムマシン経営手法で、日本と韓国で一代で財閥を築き上げた。日本で当たり前な経営手法をサービス・商品とともに韓国に持ち込むことで、現地で最先端経営ができ、地場の競合他社の先を行くというものだ。これを真似て、アメリカのものを日本に持ち込んだ男が「孫正義」である。

20年前に中国に進出したイトーヨーカドーも、日本では主流となっていた小売業のノウハウを成都に持ち込み、それをうまく現地化したことでブランドを築いたのは間違いない。

ただ「華商韜略」も記事の締めくくりで述べているが、日本の先を行く中国のITを事業に組み込み、そしてタイムマシン経営の先に行くことが今後の課題になるのではないだろうか。いずれにしても、従来の小売業はやはり茨の道であることは間違いなさそうだ。

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