上海は二日前の雨天から温度が急降下し、一気に秋が深まったようです。この調子だと秋の夜長を楽しむ間もなく冬に突入しそうですね。
去年1月の中旬、武漢の新型コロナウイルスのニュースをネットで見てすぐに帰国の航空チケットを手配し、数日後には上海を脱出したものの、その後上海に戻ることができず、何とか苦労の末、戻ってこれたのが1年前の今日でした。
誰かが、歳は毎年少しずつ取るものではなく急に取るものだ、と言っていましたが、何も人間に限ったことではなく、社会や国、地球でも同じだなと感じる今日この頃です。
いつものように中国メディアを巡回していると、「ダブルイレブン」という文字に目が留まりました。ダブルイレブン(11月11日)とは、国慶節とクリスマスの間のネット販売の落ち込みを挽回するためにアリババが作った商戦日です。
中国恒大集団がデフォルトしそうな今日、爆買いなんて言葉もなんだか古臭く感じてしまいますが、とはいえ、中国国内の消費者の購買意欲は一時期ほどの勢いは無いにしても、衰えているわけでもなさそうです。
今回は、中国メディア「調皮電商tiaopiEC」から「ダブルイレブンのための最新ガイド:別のプラットフォームで消費者にリーチし、Tmallで販売する」を紹介します。
今年の「ダブルイレブン」についてブランドや販売代理と話をしていると、インフルエンサー活動はTikTokで、ブランド活動はTmallで、が多くのブランドの共通認識になっていることがわかった。
このアプローチは10年前の「ネット全体でマーケティングを行い、タオバオで販売する」と似ている様に見えるが、かつてはネット全体で広告を行い、販売で完結するというものが、現在はさらに進化し、新しいブランドがTikTokや小紅書などのコンテンツプラットフォームで人気になり、それからTmallでブランディングを行うため、かなり異なるものだ。
これは「认养一头牛」「奶糖派」「布鲁克积木」などの新しいブランドが、この2年間で大人気になったことを裏付けている。
よく考えてみると、これは偶然ではなく、コンテンツとブランドの間には自然なつながりがあり、自然な分業が行われていることがわかる。



TikTokは瞬発力があるが、消費者はTmallに探しに来る
ブランドは消費者がやって来る所に存在していなければならない。この点からもTikTok、快手、小紅書が持つ膨大なトラフィックには一定の価値がある。
しかし、ブランド認知から購入までの道のりには、価格比較、信頼獲得、物流、アフターサポートなど、複数の要所を通過する必要がある。
「データを見る限り、TikTokの瞬発力はずば抜けています。私たちは1日に100本のコンテンツを作ることもあります。当社の公式アカウント動画はもちろん、インフルエンサーとのコラボ動画もあります。1つの動画が数十万再生、中には100万再生を超えるものもあり、それが1日で行われるのです。それが瞬発力という概念です。」と低卡博士のパートナーである徐思源氏が明かした。
「低卡博士」が設立されたのは2020年6月、同名のTikTokアカウントで、当時すでに200万のフォロワーを獲得していた。低卡博士は、自分達のコマースブランドを立ち上げてから数ヶ月後に、まずタオバオ店を開き、続いて今年7月にはTmallに旗艦店を開き、自分達で研究した健康的な低カロリー食品の販売を始めた。

Tmallに出店した理由について徐思源氏は「D2C(P2C)ブランドは信頼に関するあらゆる問題を解決する必要があります」と説明する。ショート動画アプリの快手で私たちのコンテンツを見たユーザーの多くが、まずTmallに来て検索することがわかりました。彼らは購入者のレビューを見て、そして価格が妥当かどうか確認しているようです。」
徐思源氏の見解では、Tmallはブランドにとって必須のプラットフォームだそうだ。Tmall内のブランド旗艦店が広く支持されているのはもちろん、この成熟したコマースプラットフォームは大量の流入にうまく対応し、より多くのコンバージョンを促すための流れが完成しているからだ。
「現在、当社のTmall店にアクセスしてくるユーザーの半数は、ブランド名検索によるもので、TikTokで商品を紹介した次の日にTmallで検索して店舗に流入してくるケースが非常に多いです。これらのユーザーのほとんどはTikTokでは商品を購入せず、Tmallに移って商品を購入しています。」
現在、低卡博士の月間売上はネット全体で約2,000万元あり、その内、タオバオやTmallでの売上比率は30%となっている。この割合は決して高くはない。これは低卡博士の店舗運営レベルがまだ十分ではないからだ。徐思源氏は、タオバオやTmallで十分な体制で運営を始めていない理由は、製品カテゴリーがまだ十分に充実していないからであり、カテゴリーが完成し、運営が強化される来年には、タオバオやTmallでの月間売上比率が一気に50%を超えることが予想されると述べた。
簡単に言えば、TikTokで紹介した後はTmall店へのアクセスが激増するというわけだ。検索による流入が意味することは、ブランドが消費者に記憶された証であり、広告からの流入とは全く異なる。コンテンツ自体が大きな影響を得たことでブランドの強力な引き立て役となっている。またこれは、複数プラットフォームでのトラフィックの相乗効果によって生まれた新しい価値でもある。
この新しい価値はタオバオやTmallで再利用されることで、さらなる効果がもたらされる。
低卡博士は、今年のダブルイレブンでは、TikTokのトップインフルエンサーに投資する代わりに、タオバオのライブコマースとショート動画にマーケティング予算を投入する予定だ。徐思源氏は、これはTmallのトップライバーの高い効率性と安定したアクセス量を考慮したものだそうだ。
「フォロワー数が3万のコマースライバーであれば10万〜30万視聴、「薇娅」なら確実に数百万視聴は取れるでしょう。一方、TikTokのトップインフルエンサーはイマイチ安定していません。」

ブランドはTikTokと小紅書で別の顔を見せるべきではない
徐思源氏が言ったことは事実であり、Tmallのトップライバーの安定した戦闘力は、業界の誰もが認めるところである。
つい先日の10月11日、ダークホース的存在の微炭酸アルコールブランド「十点一刻」が「薇娅のおやつフェス」ライブコマースで紹介され、20万本が売れて取引額が100万元を超え、さらに十点一刻はその日のうちにTmallの「微炭酸アルコール」部門のナンバーワンに躍り出た。
十点一刻は、若者に人気の新進気鋭のブランドであり、ドリームチーム的な創業メンバーを擁していることから「セコイア・キャピタル」や「真格基金」といった一流のベンチャーキャピタルからも投資を受けている。

ブランドが設立されてまだ1年しか経っていないが、すでに「Good News」や「不熟艺术展」、「DICECON 2021北京国際ボードゲーム展」など業界を超えたコラボが進んでおり、TikTokや小紅書などのプラットフォームでも高い人気を博し、羅永浩、雪梨、李艾、胡兵、林依轮などのインフルエンサーのライブで何度も取り上げられており、まさにトップインフルエンサー・ブランドのような雰囲気が出ている。
今年の618商戦で「十点一刻」はTmallの「微アルコール飲料」で3位に入り、さらに細かいジャンルの「微炭酸アルコール」では1位となった。99划算节商戦でもこの順位を維持した。「次のダブルイレブンでも良い順位を取りたいと思っています。」と十点一刻の運営ディレクターであるLykke Yu氏が言った。
618商戦、99划算节商戦、ともにTmallが主催するプロモーションイベントのようなものです
今年のダブルイレブンは非常に重要なプロモーションであり、8月末から準備を始めているが(業界では通常、99划算节後にダブルイレブンの計画を始める)、十点一刻は今年のダブルイレブンの具体的な販売目標の数値を、まだ調整中として、明らかにしなかった。しかし、Lykke Yu氏は「我々の焦点は間違いなくTmallです」とだけ教えてくれた。
十点一刻のような野心的な新ブランドにとっては、業績の成長よりもブランドの成長が優先される。数あるプラットフォームの中からTmallを本拠地として選択した理由は、Tmall内のブランドの旗艦店のイメージがよりハイエンドで権威的であるのはもちろん、Tmallが提供する新ブランドの成長を支援するチャネルやリソースが十点一刻にとって非常に重要な役割を果たしているからだ。
例えば、今年の618商戦では、2021年「天猫美食新品牌创造营」企画において、十点一刻は「自分にご褒美グルメ」においてナンバーワンの称号を得た。
TikTok、WeChat、快手、小紅書などのプラットフォームでも十点一刻はプラットフォームの動向を追いながら対応しているが、一つの原則だけは守っている。「ブランドを中心に据え、ブランドイメージを全体的に考えていくことが大事です。TikTokで1つの顔を持ち、小紅書でもう1つの顔を持つということはあり得ません。」トラフィックを獲得するためのコンテンツであれ、Eコマースの運営であれ、すべてはブランドに貢献するためのものであり、この立場は非常に明確でなければならない。
ブランドをより豊かに、より立体的にするための組み合わせ
低卡博士はTikTokで有名になり、次にTmallでブランドを構築したが、十点一刻の場合は、Tmallで新ブランドとして確立し、それからTikTokでコンテンツを生成した。しかし、どこが最初に成長しても、少しずつトラフィックの組み合わせが良くなり、その結果、ブランドがより豊かに、より立体的になっていくのだ。
実際、TmallにしてもTikTokにしても、あるいは快手にしても小紅書にしても、どのプラットフォームにもトラフィックの構造や運用方法の面で一長一短があり、「○○しないと死ぬ」「○○から逃げる」などの勝手な制限に陥る必要はないだろう。
従来型店舗の固定された棚に対し、今のEコマースの棚はアルゴリズムによって決定され、常に移動していると言う人もいる。移動する棚は、需要とのマッチングを高め、消費者のランダムな行動を刺激することはできますが、安定した消費習慣を育てることはできない。
これは実は、インフルエンサーによるトラフィックの瞬発力と表裏一体の関係にある。ある動画が今日、爆伸びして100万再生になったとしても、次の動画がどれほどになるかは誰にもわからない。また、安定性のないビジネスは再現性がなく、本物のブランドに成長することはできない。
ライブストリーミングやショート動画は、消費者があなたのブランドに出会うことを可能にするかもしれないが、ブランドの旗艦店であれば、消費者が探し出し、消費し続け、最短の経路で再購入を達成し、最も効果的な方法でブランドに到達することを可能にする。
つまり、コンテンツを作ることは、消費者にあなたと出会ってもらうことであり、ブランドを作ることは、消費者にあなたを見つけてもらいやすくすることなのだ。これが、コンテンツとブランドの自然なつながりであり、自然な分業だが、もちろん、あなたの中の私がいて、私の中にあなたがいる、といったように常に融合している。
このようなコンバージェンスの流れの中で、プラットフォームの役割も変化していることをさらに明確にすることが重要だ。コンテンツの重要性が増している現在、Tmallでは新しいブランドが爆発的に増える可能性があるが、それはTmallがある意味でブランドをプッシュする役割を果たしているからだ。

例えば「三顿半咖啡」は新しいタイプのインスタントコーヒーの代表格とされているが、実は「新感覚インスタント」というジャンルは、Tmallが提唱したものであることはあまり知られていない。
取引に限らず、自社のプラットフォームに限らず、ネットワーク全体のエコロジーでブランドの成長を見守り、その強みを発揮できるように支援する、これが大きなプラットフォームのあるべき姿だろう。
おわり

イエス
結論としては、Tmall(天猫)だけやっているブランドは、今すぐTikTok(抖音)もやるべき、ということですね?