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中国コーヒー戦争2022年 Part 2

中国メディア「鈦媒体APP」から「コーヒーが地方の中小都市(三、四級都市)にも浸透するか、一部の大手が賭けに出る」を紹介します。


コーヒーというと「嗜好」や「ライフスタイル」のイメージが強く、主なターゲットは大都市で働く中高所得ビジネスマンが中心という印象がある。

しかし他の商品や輸入品と同様、コーヒーも中国市場で浸透しつつあり、一、二級都市から三、四級都市へと拡大の一途を辿っている。

この急速に広がる裾野を取り込もうとしているのが、ティー飲料業界の老舗ブランド「蜜雪氷城」が100%出資するコーヒーチェーンの「ラッキーコーヒー」だ。このブランドが今、三、四級都市マーケットで急拡大している。

ラッキーコーヒーの中国語名は「幸遠珈」

ラッキーコーヒーも親会社の蜜雪氷城と同様に極限のコストパフォーマンスを重視しており、アイスコーヒーは5元、アイスラテは6元、フルーツフレーバーコーヒーは5~7元、最も高いものでも15元ほどで販売している。スターバックスよりはるかに安いだけでなく、スターバックスを安さを武器に追従する中華ブランドの「ラッキンコーヒー」よりもさらに安い価格設定となっている。

公式サイトによると、ラッキーコーヒーは2020年4月にフランチャイズ展開されたそうだ。2022年7月30日の時点で全国で1,400店舗に達っている。店舗数だけでいえば、ラッキーコーヒーはすでにラッキンコーヒー、スターバックス、NOWWAコーヒーに次ぐ中国第4位のコーヒーチェーンブランドまで成長している。

しかし、ラッキーコーヒーには現実的な「壁」もある。コーヒーの主な消費地はまだ一、二級都市にあり、三、四級都市での市場の可能性が未知数なのである。ラッキーコーヒーは、TOP10ブランドの中で唯一、超低価格の「田舎路線」を採用したコーヒーブランドとして、これまで誰も踏み入れたことのない道を開拓している状態といえる。

究極のロープライス

「超低価格」といっても、すべてが無利益というわけではない

ラッキーコーヒーは、参入するための情報収集の過程で、多くの省の飲料市場を視察した結果、「15元以下の挽きたてコーヒー市場がまだ空白」であることを発見したと述べている。低価格で知られるラッキンでさえ、標準的なアメリカーノは13元だ。ラッキーコーヒーは、スターバックスと同じアラビカ種珈琲豆を使い、挽きたてのコーヒーを提供しながら、アメリカンコーヒーの1杯を5元に抑えている。

超低価格のため、多くのアナリストが「5元の挽きたてコーヒーで利益はあるのか?」と疑問を抱いている。しかし実のところ、コーヒー自体はそれほど高価な飲み物ではなく、現在一、二級都市で提供されるコーヒーの値段は大体20〜30元で、その大部分はブランドバリュー、高い家賃、人件費である。

ざっくりとコスト計算をしてみると、珈琲豆のコーヒー消費量のカップは約20グラム、豆のコストは約1元、常温保存の牛乳の価格は約1.5元、新鮮な牛乳の場合は追加で2元である。コップやストローなどのコストを加えると、おそらく1杯のコストは5元程度に抑えられるのではないだろうか。アメリカンコーヒーであれば、材料がシンプルでコストがさらに低くなるため、3元程度に抑えることが可能だ。

現在、中国国内で「超低価格路線」でブランドチェーン展開しているブランドはどこもラッキーコーヒーと似ている。「Cubic Coffee三立方珈琲」「干珈人」「爵渇珈琲」などだ。また、無錫市周辺に20店舗以上出店している「打工人珈琲」に限っては、主力のアメリカンコーヒーを1杯4元で販売している。これは、コーヒーの「超低価格」販売がすべて無利益ではないことを証明していると言えるだろう。

また、ラッキーコーヒーではコーヒーだけでなく、親会社の蜜雪氷城アイスクリーム、ミルクティー、フルーツサンデー(フルーツパフェ)、フルーツティーなど、蜜雪氷城が得意とするコーヒー以外の飲み物も販売している。

利益率の低いコーヒーは、実は消費者が来て時間を過ごすための一つの商品として機能しているが、利益に貢献しているのは10元レベルのスペシャルコーヒーやその他の飲み物である。

また、低価格帯の市場では店舗の家賃や人件費が安く、販売量が多いため、数百トン、数千トンの大量購入が可能なため交渉力があり、また蜜雪氷城の物流サプライチェーンを共有できるなど、コスト削減できる部分はたくさんある。これらのメリットを享受することで収益性の敷居をある程度低くすることができている。

しかし、それでも蜜雪氷城のように、利益率の低いラッキーコーヒーの店舗は、もっと売らないと黒字にならない。推計によると、ラッキーコーヒーのフランチャイズ店舗が利益を得るには、1日平均約1,500元(つまり1日200〜300杯を販売)の売上を達成する必要があるそうだ。

ミルクティーショップ

消費者はコーヒー風味の飲み物をより多く飲むようになった

2019年のラッキンコーヒーの上場に際し、創業者の銭治亜氏は「ラッキンコーヒーのIPOは、中国におけるコーヒー消費の平準化の始まり」「ラッキンのブランドビジョンは、すべての中国人がより良いコーヒーを飲めるよう、高品質でコスパが高く便利なコーヒーを提供すること」と述べている。

ラッキンコーヒーの商品価格はスターバックスより手頃だが、全店舗の77%が一、二級都市にあり、主要商品の取引価格は15〜20元に集中しており、実際には、大都市の消費者の「権利の平準化」に役立っているに過ぎないのである。

ラッキーコーヒーはラッキンコーヒーからバトンを受け継ぎ、「コーヒー消費の真の平準化」に一歩近づいたと言えるだろう。ラッキーコーヒーの一人当たり消費単価は7.88元で、ラッキンコーヒーの19.34元を大きく下回っている。しかも、ラッキンコーヒーよりもさらに小さい都市を主戦場としている(全店舗の60%以上が3、4、5級都市にある)

その目標は、公式サイトに記載している通り、すべての大学、すべての県、すべての市にラッキー珈琲を広めることである。

ここで言う県とは日本でいう「村」、市は「町」をイメージするとピッタリ。

一部の消費者はラッキンコーヒーを見捨て、ラッキーコーヒーに移る動きも見せており、大手SNSではラッキーコーヒーを「庶民版ラッキン」と親しみを持って呼ぶ消費者も出てきている。偶然にもこの2つのブランドの英語名(カタカナ)がよく似ていているのもこの様な消費者の鞍替えを後押ししている。

こちらはラッキンコーヒー、目下店舗数で中国ナンバーワン

しかし、ビジョンやブランド名は似ていても、都市部でのポジションや流通の違いから、両社の間に激しい競争は今の所ない。市場低迷の中で、ラッキーコーヒーが最も大きなプレッシャーを受けているのは、実は主にミルクティー業界である。

一方、「連珈琲」の創業者である張洪基氏が言うように、中国人の約95%はミルクや砂糖を入れない「ブラックコーヒー」が飲めず、田舎市場において本当のコーヒー好きはまだ多くはない。コーヒーブランドというより、コーヒーをフィーチャーしたミルクティー専門店という程度で、両者の境界線は曖昧なままとなっている。

以前、ラッキーコーヒーのフランチャイズ店舗オーナーがメディアの取材で、ライバルは2本先の十字路にある他店のラッキーコーヒーでも、ラッキンコーヒーでもコンビニでもなく、同じ通り沿いにある蜜雪氷城の他店舗だと語っていた。

蜜雪氷城のアイスクリームブランド「极拉図」でも、今年からコーヒー関連商品を追加し、アメリカンコーヒー8元、ラテ10元など8種類のコーヒー商品を揃えた。

当然、「喜茶」「奈雪的茶」「CoCo都可」「一点点」などの他のミルクティ・ブランド達も相次いでコーヒー製品を発売している。特にCoCo都可と一点点は田舎市場を独占し、多くの部分でラッキーコーヒーとの競争が少しづつ増してきている。

メジャーブランドを恐れてはいない

あえて田舎市場に攻め入る決断をする企業や資本はそう多くはない

国内消費が低迷する2年間だったが、移動型コーヒー販売トラックが目立ち、投資家が資本を注入する先として求められたり、何より消費者たちに愛されてきた。

中国税関データ統計プラットフォームによると、2021年のコーヒー生豆の年間輸入量は106,000トン、前年比87%増、輸入額は3億4600万ドルで前年比119%増となった。

「Ai Mediaコンサルティング」のレポートによると、中国のコーヒー市場規模は2020年に3,000億元(6兆円)に達し、2025年には1兆元(20兆円)に達すると予想されている。この数値には疑問もあるが、国内のコーヒー市場が大きく、かつ急速に成長していることは十分に証明されていると言えるだろう。

中国におけるコーヒーショップの店舗数、チェーン率は現在まだ低水準にある。デロイトのコーヒー白書によると、2020年末までに中国には10万8000軒のカフェがあり、その75%は2級都市以上に位置し、全体のチェーン率は低く、チェーンブランドは13%に過ぎないとのことだ。

つまり、国内のコーヒー市場には、三、四級都市や田舎市場が残されており、大都市に集中する現在の市場という点で、まだまだ潜在的な可能性と改善の余地がある。

ラッキーコーヒーは、姉妹ブランドの蜜雪氷城と同様の戦略的選択、つまり、手頃な戦略とフランチャイズモデルで幅広い層の田舎消費者にリーチし、大きなマーケットで薄利多売ビジネスを展開することを目指したのである。 今のところ、そのような決断をする勇気のある企業や資本はそう多くはない。

一方、「喜茶」や「漫喫茶」は、主に大都市で高利益・高単価のビジネスを行っている。しかし、これは中国という広い市場空間を戦略的に放棄することを意味する。「華与華」の創業者である華杉曽氏は、かつての仲間だった喜茶の名前を挙げ、「400店以上になっても、トップブランドの20分の1に過ぎない」とコメントしたことがある。全員が行列を作っても、大した商売にはならない。コストはどんどん高くなり、追随するブランドは軒並み自爆している」

現在、蜜雪氷城とラッキーコーヒーは「巨大市場、薄利」という経営形態で、一定の成功を収めている。蜜雪氷城の公開市場評価額は600億元(1,200億円)に達し、上場企業の「奈雪的茶」をはるかに上回り、ラッキーコーヒーの店舗数もわずか2年でコスタコーヒー、パシフィックコーヒーなどの老舗を抜いている。

しかし、ラッキーコーヒーが田舎市場で確固たる地位を占めるには、まだまだ多くの課題を抱えている。

田舎市場では、コーヒーの需要がまだ疑わしく、「コーヒー風味の飲料」であっても、人々に受け入れられるまでの過程がある。さらに田舎市場の消費者は、仕事や生活のプレッシャーが比較的少なく、リフレッシュ効果に対する需要がほとんどない。また、田舎市場には、さまざまなタイプの手頃な果実飲料ブランドもある。

このような心配は、蜜雪氷城にはないようだ。 ラッキーコーヒーの社長である張红甫氏は、「5年以内にコーヒー版の蜜雪氷城を再現したい」と語っているが、これは基本的に、将来のコーヒー市場の普及率に対する同社の保守的な予測を反映している。

しかし、別の見方をすれば、田舎市場におけるコーヒーブランドは、それ自体が市場の教育であるとも言えます。 ユーザーの習慣が身につけば、大きな可能性が生まれる。ラッキーコーヒーは果たして先行者利益という巨大な報酬を得られるだろうか。

おわり

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