2021年の今頃、私は中国の若者の間で広がりつつあるムーブメント「タンピン(横たわり族)」についての記事を書いたが、その記事の最後では「中国版ウーバーイーツである『美团』『饿了吗』またはクロネコヤマトのような『快递』といった配達員として働く彼らだが、その働きっぷりを見る限り、『躺平」をしている暇はなさそうである』とまとめていた。
それから2年、そんな彼らも今では「1件のデリバリー案件を10人が秒で奪い合う」超競争時代へと突入し、半ば諦めモードに入っている配達員がこのところ急増しているという。
最近見たビリビリ動画では北京でフードデリバリーを5年やっていた出稼ぎ男性は、コロナ禍(ロックダウン中)に年間収入25万元(500万円)達成したのをピークに、現在は1日16時間働いても10万元にも満たないと嘆き、この5年間に貯めた貯金を持って田舎に帰ると言っていた。
街を歩けば、以前ほどせかせかしていないフードデリバリーがずいぶんと増えたような気がする。
今回は「辺境財経実験室」からフォックスコン(富士康)関連の記事を見かけたので紹介します。

世界最大のiPhone生産工場である鄭州市(ていしゅうし)の富士康工場は、2023年後半に予定されている新製品の発売に向けて、このほど採用活動を強化した。 現地の報道や転職エージェントによると、同社は生産のピーク時に安定して働ける従業員に8,000元(16万円)の追加報酬金を提供する予定だそうだ。また、従業員が知り合いや親族を従業員として誘い、成功した場合は1,000元(2万円)の報酬も提供される。さらに富士康は、ピーク時に4ヶ月以上勤務した従業員には別途7,000元(14万円)のボーナスも受け取ることができるという。
この工場の労働者に対する需要は現在非常に高い。地元の人材紹介会社によると、鄭州の人材紹介会社は、来たる生産ピーク期に備えて「人材確保中」だという。一方、中国南部の深圳市にある富士康の工場も新規スタッフを募集しており、新入社員には最大で6,980元(14万円)のボーナスが支給されるそうだ。
この富士康による採用活動は、中国がアップルの主要生産拠点であり続けるという前向きな兆候を示している一方で、アップルとそのサプライヤーは、インドやベトナムといった他の国々で生産能力を拡大しようとしている動きも進んでいる。
富士康がサプライチェーンを中国から移転する計画があるのではないかという噂は、先ごろ天津で開催された世界経済フォーラムで、富士康のCEO兼会長の劉揚偉氏(リュウ・ヤンウェイ)によって否定された。リュウ氏は今年、中国本土の工場を数回訪問し、地元関係者と会談して移転の噂を否定しようとしている。また富士康の成都工場は「重要な」生産拠点であり続けている。
おわり