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中国のデュアルライフ(二拠点生活)若者夫婦物語(上)

深圳の夜

今回は中国の「二拠点生活」を送る若い夫婦たちの物語です。

深圳(Shenzhen)市内の家は高すぎて買えないため、近郊の恵州(Huizhou)で家を購入した夫婦。自宅で寝るために片道1時間半かけて車通勤し、妻は通勤しやすいエリアの仕事に変えた。すべては自宅で快適な時間を過ごすために。

また別の夫婦は、結婚後に北京(Beijing)と石家荘(Shijiazhuang)に別々に暮らし、週末に交代でお互いの街を行き来する。

上海市内で働き、昆山(Kunshan)で家を買うカップルもいる。毎朝、通勤で乗る地下鉄11号線では同じような顔ぶれが並ぶ。片道2時間の地下鉄通勤に小さい折り畳み椅子を持ち込んでいる。

北京(Beijing)と天津(Tianjing)の二拠点生活を始めた夫婦、少しでも長く一緒にいるために毎日5時間かけて会社と自宅を往復するが、夫婦間のすれ違いが修復できないこともある。

それぞれの物語に、若い夫婦たちの奮闘や悲しみだけでなく、生きることの難しさも見えてきます。

これから紹介するストーリーはそんな彼らの実話です。

高い給料を諦め、毎日1時間半かけて家に帰って寝る

陳珪さん(女性、28歳、研修機関勤務)

恵州に住んで深圳で働く(Googleマップが開きます)

毎日午後5時に退社して会社ビルの一階ロビーで待っていれば、10分後には主人が車で迎えに来てくれます。それから「浜海大道」と「恵深沿海高速」を1時間20分ほど走れば、6時半には家に着いています。

深圳と恵州を行き来する生活はもう2年ほど続けている。深圳市南山区での仕事をやめて、恵州から近い福田区で仕事をすることにしました。

昼は深圳で働く

私と夫は2018年に結婚しましたが、深圳の天井知らずに上がる住宅価格を前に「近い将来、深圳で家を買える見込みはない」と悟り、深圳から車で1時間ほどの距離にある恵州市大亜湾エリアに家を買いました。大亜湾エリアには、私たちと同じような生活を営む若い夫婦がたくさん住んでいます。

このような外地から出稼ぎに来る人たちを皮肉った「(深圳人ではなく)なぜか恵州人になっていた」というセリフをよく聞く。

当初、私たちは「将来もし大亜湾の住宅価格が値上がりしたら、家を売って、深圳で買う家の頭金にしよう」と考えていました。しかし、まさか本当に恵州人になるとは思っていませんでした。大亜湾の家の値がまったく上がらず、頭金にすらならないのです。

私たち夫婦にはもう1つ、子供を持つという問題がありました。二人で借りていた深圳の1ルームは家賃が月2,800元、これに大亜湾の自宅の毎月のローン6,000元を加えると、1ヶ月の固定出費が8,800元です。今より少しだけ広い部屋を借りると、家賃がローンよりも多くなってしまいます。

幸いなことに、朝夕のラッシュアワーの交通規制が無い深圳のナンバープレートが取得できたので、夫と相談して車を購入し、昼は深圳で働き、夜は恵州に帰って広い家で寝るという二拠点生活を始めた。

当時、私が勤めていた会社は恵州からかなり遠い南山区にあり、渋滞する深圳市内を横断する必要があり、片道の通勤だけで2時間以上はかかっていました。通勤時間を短縮するため、残業の多いインターネット関連の仕事を辞め、福田区にある研修所で、午後5時ぴったりに退社できる仕事に就きました。ただ給料は半分になりました。

最初は早い時間に家にいることに慣れず、長い夜の時間をどう使えばよいのかわかりませんでした。私がインターネット関連企業で働いていた頃は、6時半が終業時間で、それから同僚たちと簡単な夕食を取ってさらに9時まで働き、30分かけて帰宅するので家に着くのはいつも10時過ぎでした。

その後、新しい生活のリズムにも慣れてきて、家に着いてからスーパーで食材を買って料理をしたり、夜の自由な時間を楽しむようになりました。給料は少ないですが、結構気楽ですよ。

夜は恵州の自宅で過ごす

とある金曜日、夫が緊急で夜7時まで残業することがあったため、8時過ぎに迎えに来ました。塩排高速道路の交差点で、ライトをつけた外地(深圳以外)のナンバープレートの車が(交通規制解除待ちで)たくさん並んでいるのを見て、夫が「恵州の家は売れないけど、ナンバープレートがあるのはラッキーだった」と言いました。

私たちと似た境遇で、同僚の一人が東莞(Dongguan)に買った家が、深圳の住宅価格に近い平米3万元になったという話も聞きました。しかし、深圳のナンバープレートを持っていないので、平日は深圳に住み、週末だけ東莞に戻るため、家賃とローンを二重に負担しているそうです。

朝夕の交通規制を回避するには、早朝5時半に出発して7時前に会社に着くようにするか、または夜10時過ぎに出発して、深夜に帰宅するかのどちらかです。または、早朝に家を出て高速鉄道に乗り、深圳市内で地下鉄に乗り換えて通う人もいます。どちらにしても早朝や夜遅くに走り回るのは大変なことです。

大都会で生きる外地人の苦労がひしひしと伝わってきます。

新婚半年、北京と石家荘を毎週末往復する二拠点生活

趙成功さん(男性、29歳、Eコマース企業勤務)

北京と石家荘を相互に行き来する(Googleマップが開きます)

私と妻は2020年5月に石家荘で結婚届を出し、半年後の11月から北京で仕事を始めたので、現在妻とは週1回しか会えません。

私は北京のインターネット企業で新しいプロジェクトを任されているので、常に残業している状態です。妻は石家荘の新居で試験勉強をしており、彼女の相手ができるのは飼っている猫かビデオ通話内の私だけです。

仕事はとても忙しく接待の会食も多いため、私たちは「双方が交互で行き来する」ようにしています。私が金曜日の夜に北京西駅から高速鉄道に乗って石家荘に向かい、日曜日に北京に戻ってくることもあれば、彼女が金曜日の朝に北京にやって来て、月曜日に高速バスで石家荘に帰ることもあります。

周りの人からは「結婚している人は家の近くで仕事を探すべき、そこまで移動ばかりしなくてもいいだろう」と言われますが、苦笑いするしかありません。

私も妻も文系の仕事をしているため、スキルと経験が生かせる仕事が見つかるのは北京だけ、他の都市ではほぼ見つかりません。

北京では1~2万元(18万円〜36万円)の仕事は普通にあるのですが、石家荘では5~6千元(9万円〜11万円)が高給とされ、仕事のプレッシャーも倍になります。北京で数年間働いてきた私にとって、この条件は受け入れ難いものです。住宅ローン、生活費、将来の子育てなど、すべてにお金が必要ですから。

結婚から半年後、石家荘での生活に馴染めず、結局、私は北京に戻って仕事をすることにしました。北京の給料が高いため、妻と二人で「二拠点生活」をしたのは今回が初めてではありません。

2018年のことですが、当時まだ私の彼女だった妻の会社の内部調整で、天津支社に行く事になりました。天津に住んで北京の給料をもらえるならと、彼女は迷わず承諾しました。

北京の1ルームの賃貸料で、天津の高速鉄道駅近くにある2LDKを借りることができます。さらにその新しい業務はスタートアップだったため、たくさんの事が学べる良い機会だったようです。

毎週金曜日の午後、北京南駅から天津行きの都市間高速鉄道に30分乗って天津に戻り、月曜日の朝、また高速鉄道で北京に戻り、地下鉄を使って直接会社に行き、仕事をするという生活を続けていました。

そのため、私は特別なプリペイド交通カードを持っていて、出発時刻と座席を自分で選ぶことができるので、毎回チケットを購入する必要がありません。窓口のスタッフから「このタイプのカードは3万枚しかないから、しっかり保管しておかないといけないよ、無くしたら交換できないからね」と言われたことを今でも覚えています。

私たちのような人がたくさんいることに、軽いショックを受けたのです。

私も妻も、今の状況は一時的なものであることを理解していますが、それでもこの状態がいつまで続けれるか、不安になることがあります。

特に一人では対処できない問題が起こる度に心配になります。例えば、私たちの猫は、最近耳ダニがひどくなり、耳をきれいにする薬を塗るために、体重が7、8キロある大きな猫を一人で押さえて処置することは至難の業です。毎日猫用のバッグを持って動物病院に行き、スタッフを探すしかありませんでした。

でももし私が家にいれば、その場で簡単に解決できるので、わざわざ獣医さんのところに駆け込む必要はありません。

個人なんて大局観の中では1粒の砂にすぎず、小さく非力な存在に過ぎません。困難な状況の中でもがく毎日を私たちは生活と呼ぶのでしょうね。

今の生活は少し大変ですが、私たちはいずれこの困難も乗り越えるでしょう。

次回に続きます。

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