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チームビルディングや社員旅行が原因で会社を去る中国人社員(下)

アイランドリゾート

チームビルディングや社員旅行が原因で会社を去る中国人社員(中)」からの続きです。

アイランドリゾートのはずが、寺で4時間かけて写経するはめに

ゴマさん|31歳、元イベントプランナー

信じてもらえないかもしれませんが、老板(ラオバン、中国語でボスという意味)はみんなを「おもてなし」すると言っていたのに、実際は、私たちをお寺に連れて行き、写経(僧侶が行う修行の一つ)をやらせたんです。

昨年の冬、私のチームは半年前から検討していた大型案件の獲得に成功し、その後、全社員が2ヶ月以上昼夜を問わず作業を続け、プロジェクトを終わらせました。この間、老板は私たちに気を使ってくれ、仕事中や会議でも「まずは一生懸命仕事をして、このプロジェクトが終わったらみんなをバケーションに連れて行く」と言っていました。

社員のほとんどは新卒の若い子が多かったため、みんなチームビルディングをとても楽しみにしていました。街に遊びに行ったり、島で海に入ったり、を期待していたと思います。

プロジェクトが一段落した直後の会議で、まさか老板が「今週末にみんなでお寺に行こう」とぬけぬけと言い出すとは思いませんでした。その時は一瞬、会議室の空気が止まったような気がしました。

ほとんどの社員は、本当は行きたくないと思っていたのですが、誰も反対しませんでした。うちの会社は小さいので、会社のほぼすべてのことを決めるのは老板です。老板は熱心な仏教徒ですし、そもそも意見を出しても意味がありません。

私たちが行った日は、小雨が降っていて、風もあったため、お寺はとても寒かったです。その日の流れは、みんなで座布団の上で、お寺の住職がお経を読むのを聞いて、そのお経を写すことから始まりました。 皆、4時間座って経典を書き写した後、午後2時に食事に向かいました。当然、精進料理です。

正直なところ、私はこれまで経典を写すことはおろか、仏様を拝んだこともなく、心の中で「仏様は私のような不誠実な心を持つ人間は排除するのではないか」と思いながら座布団の上に座っていました。会社の同僚がどのように感じたかは分かりませんが、とにかく肉体的な苦痛から精神的な苦痛まで、とても辛い一日でした。

帰り道、同僚たちは苦笑いしながら、ハイキングや訓練ゲームなどのチームビルディングと比べたら、お寺に行って写経することはとても良いことだと再確認していました。

会社に戻ってから、老板も少しうぬぼれたように「お寺に行って写経させたのは、みんなに徳を積ませて善行を積ませるためだ」と説明していた。しかし、そんな老板は自己中心的で、社員の気持ちを全く考えていないと感じました。

老板が社員の期待値を高くしていなければ、もしかしたら「不平不満」はそれほど大きくならなかったかもしれません。しかし今回の事件以降、老板がチームビルディングを餌に社員を操ろうとしても、ほとんど誰も動くことはありませんでした。

罰金をチームビルディングの費用に当て、チームビルディング飯が退職祝い飯に

張達さん|25歳、インターネット企業のビジネスマネージャー

2018年に大学を卒業してから三つの会社で働きました。これまで参加したチームビルディングは主に同僚たちをリラックスさせるためのものでした。一つ目の会社のイベントは「ディナー+映画」や「ディナー+マッサージ」といったオーソドックスなものが多かったです。私が現在働いている3番目の会社では、より多彩なプログラムがあり、私たちの部署では、「ホームパーティー、マーダーミステリー、人狼ゲーム」などのイベントを開催しています。私が経験した最も奇妙なチームビルディングは、二つ目の会社にいた時に起こりました。

2019年9月、ある企業の「イノベーション事業部」の事業開発職の面接を受けました。面接では、部長から「新しい部署は役員から期待されているし、会社には強力なリソースがあるから、いい仕事をしてビジネスを成功させてみせろ。」と言われました。

しかし入社してみると、役員の期待とは裏腹に、要求される能力が異常に高く、強力なリソースは、サービスを提供した顧客の連絡先だけであることがわかりました。ビジネスモデルが未熟で、部長自身も経験が浅かったため、彼らも時々注文を変えることが多く、ビジネスを前に進めることができませんでした。事業展開が本格的に進んだと思われたのは、2019年末のことです。部署の仲間をもてなすために、部長が会社の向かいにあるスーパーでビールとおつまみを買ってきて、いわゆる第一回目のチームビルディングのようなものを開きました。

2回目のチームビルディングは、2020年5月末でした。新型コロナウイルスが流行っていた時期で、ビジネス展開はより困難でしたが、役員たちは部長に大きなプレッシャーをかけ、「ビジネスが進まないなら、転勤か退職させろ」とまで言っていました。そこで部長は、チームビルディングでの食事や飲み会を通じて士気を高め、ビジネスを発展させて役員たちの信頼を回復したいと考えましたが、同僚たちの意識はすでに離れ始めていました。

コロナ禍でチームは結果を出せていません。部長はビジネスモデルを最適化する方法を考えていないばかりか、自宅で仕事をするときは必ずビデオ会議のビデオを繋ぎっぱなしにしなければならず、週に3回は夜12時までオンライン会議をしなければならないなど、常に私たちにプレッシャーを与えてきました。罰金もその1つです。部長は、これまでと比べて1.5倍のKPIを設定し、それを達成できなかった場合には罰金を科すと言い出しました。誰も自主的に罰金を渡さないため、部長はグループチャット中で催促すらしてきました。2回目のチームビルディングの夕食は罰金で賄われた。

チームビルディングの食事会でワインが進み、部長は自分がいかに大変だったか、会社でどれだけのプレッシャーを抱えていたかを語り始めた。次に、部長は償いのために、同僚一人一人にワインを注いで回り、乾杯を始めた。「コロナ禍では皆に厳しく当たったが、それはビジネスで生き残るためだけであり、みんながワインを飲んで恨みを忘れ、一緒にビジネスを発展させてくれることを願っている」と言う。

同僚たちにとっては不愉快な食事会で、ほとんどの人はまるでロボットにでもなったかのように飲んでいて、口では「リーダーシップを発揮してくれてありがとう」と言っていますが、心では「早く休みたい」と思っていました。当時、すでに何人かの同僚が辞める意思を持っていて、私もそのうちの一人でした。5月まで持ちこたえられたのは、辞める勇気がなかったことと、適当な次の会社が見つかっていなかったからです。

しかし、予期していなかったのは、このチームビルディングの一週間後、この部長は役員たちから退職するよう説得され、収集した罰金は未使用のまま部長は去り、その部署には新しい部長が就任した。部署の業務内容を見ていても、問題の本質を変えることは難しく、1ヶ月以内に2、3人の同僚が次々と辞めていくことになった。3ヶ月足らずの間に、10人以上いた部署に残ったのは新しい部長だけでした。

おわり


黄山の風景は水墨画でよく描かれる

2005年春、上海で3社目の会社に入社した私は、1ヶ月が経った頃、社員旅行で「安徽省の黄山」(グーグルマップが開きます)に行くことになった。当時はまだ高速鉄道がなく、上海から黄山までは、鈍行列車で11時間の長旅となる。

会社が我々社員に提供した電車代は最小限の「硬座」(ハードシート)分の往復チケットのみで、少しでも快適な旅にしたい場合は「軟座」(ソフトシート)または「硬卧」(ハードベッド)に、お金にゆとりがあれば「軟卧」(ソフトベッド)に自腹負担でアップグレードする必要があった。

すべての同僚がアップグレードする中、学生時代によく青春18切符で列車の長旅をしていた私は、少しの自負もありアップグレードなしの「ハードシート」を選んだ。

後日、自分のくだらない自負と誤った選択を悔やんでも悔やみきれないほどの「ハードモード」な長距離列車の旅となったのだが、それについてはまた別の機会にお話しします。

ところで唐突ですが、「天下无贼(渡る世間に鬼はなし)」という映画をご存知ですか?「アンディ・ラウ」も出演している有名な中国映画です。一言で説明すると、同じ電車に複数のスリ集団が乗っていて、出稼ぎをして貯めたという純粋な若者が持つ現金を奪い合うというストーリーです。2004年の映画で、当時の電車内の雰囲気やクラス別の車輌の違いなどがよくわかる面白い映画ですので、是非ユーチューブで検索して観てみてください。

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