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マカオの最下層からマフィアを経て賭博界の大物にのし上がったアルビン・チャウ氏

マカオの賭博場王チャウ氏

中国メディア「華商韬略」から「地下賭博王が捕まった!」を紹介します。


オンラインとオフラインの両方の賭博で中国人ギャンブラーをカモにしていた「マカオの賭博ホール王、アルビン・チャウ(周焯華)氏」がついに捕まった。

中国の公安局から自首するよう呼びかけられていたにも関わらず、チャウ氏は、逃亡することもなく、11月26日の夜もいつも通りに会議を開いていた。

しかし今回、賭博ホール王は賭けに負けた。

11月26日晩、浙江省温州市の公安局は通達を出した。マカオの太陽城博彩(サンシティ)の董事長、チャウ氏が率いる越境賭博犯罪組織は、8万人以上の中国人賭博会員、199人の主要株主級の代理人、1万2千人以上の賭博代理人を有し、オンライン賭博プラットフォームを運営するだけでなく、大勢の中国人を募って越境賭博を斡旋し、巨額の資金を巻き上げ、社会の不安定化を招く活動をしたとして、公安局は、情状酌量のためチャウ氏に一刻も早く自白するよう求めていた。

27日早朝、チャウ氏は逮捕された。

アジアの賭博ホールの新星であり、エンターテイメント界の大物だった47歳のチャウ氏は、一夜にして犯罪者に転落した。

今回の逮捕劇はあまりに突然で、動向を注視していた人はもちろん、チャウ氏本人すらほとんど理解できなかったに違いない。

ここ数年の不穏な状況にあってもチャウ氏の存在感は揺るぎなく、香港・マカオの新しいビジネスリーダーとしての風格を醸し出していた。

数年前には、数百万元を投じて広東省肇慶市の先祖代々の学校に体育館と校舎を建設し、マカオ励志青年会の会長も務めていたくらいだ。さらには、河南省の豪雨災害に300万マカオドルを寄付するなど「愛国者」としての人物像を積極的に打ち出してもいた。

昨年の新型コロナ・ウイルス流行時には、湖北省の感染地域に6,000万マカオドル、故郷の広東省肇慶市に1,000万元を寄付したくらいだ。

11月前半、チャウ氏の元には「良い知らせ」が立て続けに入っていた。

月初には「亚博汇50强」を受賞し、月半ばには彼がスポンサーをしているミス・マカオの公募が始まり、さらには彼が投資している映画が国際的な賞を3つも受賞した。

しかし月の後半に入ると状況が一変する。11月17日、サンシティの公式ウェブサイトに突然、このような告知が掲載された:

「悪質な中傷と脅迫、意図的な虚偽の告発に対して、サンシティは影を恐れません。当社はマカオを訪れる旅行者に質の高いサービスを提供し、多様な賭博エンターテインメント事業を積極的に展開することを約束します。」この声明を発表し、マカオ警察に報告するとともに、弁護士に責任追及を依頼したそうだ。

その10日後、チャウ氏が逮捕された。

マカオ・サンシティ創設者、アルビン・チャウ氏

アルビン・チャウ氏の伝説は今でも広く語り継がれている。

その昔、彼はマカオの街のマフィアとして活躍し、チンピラ映画シリーズ「古惑仔」の「山鸡」のモデルになったとも言われている。

一番左の人物が「山鸡」

チャウ氏は元々マカオの最下層の出身で、学業を終えることもなく街のチンピラとなり、その後、当時最も人気があった黒社会(マフィア)のボス崩牙驹の子分となった。波止場でカジノの客引きを行い、ギャンブラーに賭け金を渡してチップの差額で稼いでいた。

彼が所属していたマフィア組織が一転して悪くなったのは、崩牙驹が投獄されてからだ。チャウ氏だけはよく刑務所を訪れ、人生のどん底にあったマフィア界の大男の心を動かした。崩牙驹はチャウ氏に3,000万香港ドルを融資し、それが彼の最初のビジネス資金となった。

2007年、サンシティ集団を設立。賭博ホールの契約から始め、経営に成功したことで、賭博ホールの数が増えていった。マカオの賭博産業は、賭博ホール、カジノ、スロットマシンで構成されており、賭け金は1万マカオドル以上と決して小さい金額ではなく、それが彼の事業収益の大半を占めていた。

2017年までにチャウ氏は18の賭博ホールと300以上の賭博テーブルを所有し、「マカオの賭博ホールの王」となった。サンシティはマカオ最大の賭博ブローカーで市場の70%を占めていた。

2012年、投獄されていた崩牙驹が出所した時、チャウ氏にサンシティ株の分配を求めてきたが、当時、崩牙驹はすでに力を失っており、チャウ氏は彼に3,000万香港ドルを返却して彼を追い出した。

賭博ライセンスの取得争いは、世界のトップ資本家の対決であり、あのトランプ氏ですら追従するほかなく、マカオ賭博界の重鎮スタンレー・ホー氏であっても懸命な働きかけの末、正式な免許を1件取得することしかできないほどだった。

カジノ場を開くには賭博ライセンスが必要だ。カジノ場には賭博ホールがあり、賭博ホールには賭博テーブルがあり、テーブルの前にはセクシーでゴージャスなディーラーや、何百万ドルも勝っても負けても顔色を変えないギャンブラーたちがいる。

チャウ氏は賭博ライセンスを持っていなかったため、カジノにお金を吸い取られ続けることが不満であった。

彼は「私はとても賭博王とは呼べない、せいぜい賭博ホール王だな」と言ったことがある。

サンシティ集団の業績は、チャウ氏がマカオの賭博業界で食物連鎖の底辺にいるという現実を反映している。

チャウ氏が運営している会社には、香港上場のサンシティ、カイザーHD、サンエンターテインメント集団、フィリピン上場のサントラストがあり、後者3社はサンシティの子会社だ。

サンシティ集団はマカオで賭博ホールを運営し、カイザーHDはロシアでリゾート運営、サントラストはフィリピンでリゾート運営、サンエンターテイメント集団は中国本土で映画やテレビの投資を行っている。

現在、サンシティ、カイザーHD、サンエンターテイメント集団はすべて1ドル以下のペニーストックとなっている。2021年9月30日に終了した9ヶ月間のサントラストの業績発表によると、13億7,300万ペソ(約1億7,000万人民元)の純損失を計上した。

悲惨な株価とは対照的に、チャウ氏は「賭博以外」で巨万の財を成す方法を見つけた、そしてそれが今回の逮捕につながった。

オンライン賭博である。

チャウ氏が手がけた越境オンライン賭博

インターネットの台頭後、チャウ氏は賭博業界で大儲けするための新たな手法として、オンライン・カジノを開発した。

ロドリゴ・ドゥテルテ大統領政権後の2016年、フィリピンはオフショア・ゲーム業界にオンライン・ギャンブル・ライセンスの発行を許可し、瞬く間に軌道に乗り、フィリピン経済の柱となった。

チャウ氏は早速ライセンスを取得し、オンライン・カジノ「サンシティ」を立ち上げ、オフラインのギャンブラーをオンラインに誘導しながら、流動性を高めるために中国本土にいくつものペーパーカンパニーを設立し、得られた利益でギャンブラーを見つけるための仲介人を開拓した。女性ディーラーがライブストリーミング動画の中でカードを配り、ギャンブラーはスマホやパソコンからオンラインでベットすることができる。ゲームの本質は「悪徳商法」であり、勝敗は裏方によって完全に操作される。

ギャンブル資金は、中国本土にあるチャウ氏のペーパーカンパニーで人民元で決済でき、24時間対応のカスタマーサービスの電話番号が用意されている。毎年、数百億元の純利益が、地下の両替商を通じて国外に流出していた。

2019年、「経済参考報」は、サンシティというオンライン・ギャンブル・プラットフォームが4年以上にわたって運営されており、中国本土を中心とした会員数は約数十万人、月平均の賭け金は1,000億元以上、年平均の賭け金は1兆元以上に上ると報じた。

サンシティのオンライン・カジノのサーバーや開発チームは国外に拠点を置いているため、規制にかかるコストは高く、技術の発展とともに対策の難易度も上がっていった。

ギャンブル資金は、グレーな業界関係者が素人(小銭欲しさにカード名義を貸す学生や若者)から借りている銀行カードや支払い口座を通じて補充でき、ギャンブルの利益は、規制されていないブロックチェーン暗号通貨を通じて送金、洗浄することができる。人とアカウント情報が分離されているため、ビッグデータの検知効果は格段に落ちる。高い利益と低いリスクのため、国境を越えた麻薬密売人の中には、生業をオンライン・ギャンブルに切り替えた者もいる。「フィリピンに行ってホウレン草を育てる」という言葉もあるほどだ。

公開されている情報によると、中国政府はフィリピン政府にオンライン・ギャンブルを停止するよう連絡を取り合っていたが、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領に拒否されていた。

また、チャウ氏は、知人経由や旅行代理店経由で、観光と称して、国外の自分のオフライン・カジノに中国人を招待するギャンブル旅行も敢行していた。

チャウ氏名義のカイザーHDは、オフショア・カジノの1つであるロシアのリゾート地「クリスタル・タイガー・パレス」を持っており、クリスタル・タイガーパレスでの賭博で財産を失った人が吉林省や黒竜江省に頻繁に現れ、2020年5月、公安局の目に留まった。

公安局は手がかりをもとに「クリスタル・タイガーパレス・リゾート」を捜査対象とし、9ヶ月後に142人の犯人を逮捕し、4400枚以上の銀行カードと16億元以上のギャンブル資金を没収した。

ある時、複数の公式メディアが一斉に「サンシティ・ネットワークは社会を危険にさらすギャンブルに関与している」と非難し、それを受けてサンシティ集団の株価が急落したが、チャウ氏がこれを否定した。

インターネット・ギャンブルを掌握し、国境を越えた賭博行為を行うことで、チャウ氏は大富豪の仲間入りを果たした。

大富豪となったチャウ氏は、有名な映画投資家の顔も持ち、かなりの成功を収めている。

事実、彼が所有する会社は「恋の紫煙」、「カジノ」シリーズ、「ドラゴン×マッハ!」、「狂獣 欲望の海域」、「オペレーション・メコン」、「オペレーション:レッド・シー」などのヒット映画で数々の賞を受賞している。

また、チャウ氏はエンターテイメント界の大物との親密な交流もあり、サンシティのイベントには常にスーパースターが参加している。サンシティのスポークスマンはルイス・クーで、チャウ氏は自らを「マカオのルイス・クー」と呼ぶなど、二人は個人的にも親密な関係にある。

チャウ氏の成功の裏に、無数の家族の崩壊があった

オフラインのカジノ場ではどんなギャンブラーでも十中八九負けることになるが、オフライン・カジノよりもさらに罪深いオンライン・カジノは、コンピュータにすべて管理されており、負けは大きく、勝ちは小さいため、こちらも十中八九負けることになる。しかも勝ち組も負け組もただの数字であり、節度が持てない人は自覚が無いままに深みにはまり、すべてを失ってしまう。

遼寧省撫順市の小学校の女性教師は、オンライン・カジノに参加するために複数の親族からお金を借り、巨額の損失を出した後、自殺した。同じような悲劇が後を絶たず、経済と社会の両方に大きな脅威を与えている。

中国は、違法なギャンブルについて厳しく取り締まっている。報告書「中国打击非法博彩如何影响全球博彩市场」には、2019年に中国で2万5千人が違法賭博で逮捕され、2020年には11万人に増加するという統計が掲載されている。

2015年には、中国国内で中国人を韓国のオフショア・ギャンブルに誘っていた韓国人が多数逮捕され、2016年には、オーストラリアのクラウンリゾーツ社の社員が中国人を誘ってギャンブルをしたとして多数逮捕された。

2020年には、中国人が国外で賭博をするよう勧誘することを犯罪とする刑法改正案が提出され、この改正はチャウ氏のような賭博業者を対象としたものである。

この2年間は、マカオのカジノ業界にとっても厳しい状況だった。

ブルームバーグは、新型ウイルスの流行により、マカオのカジノ業界は少なくとも270億米ドルの損失を被ったと推定している。世界最大のギャンブル都市であるマカオは、2022年にも新たな賭博ライセンスの入札が予定されており、それに伴う激しい競争がすでに始まっている。

世界のトップ資本家たちが戦いを始めると、チャウ氏は必然的に複数の渦の中に巻き込まれることになる。

あらゆる方面からの圧力を受けながら、オンライン・ギャンブルに頼って財を成したチャウ氏は、成功した企業家のように振る舞い、慈善活動に力を入れることで身の潔白を示そうとしていた。ただ内情を知る一部の人々には「金は正義」という印象を与えているだけとなっていたようだ。

さまざまな騒動について疑念の目を向けられても、なんとか事態を収束させ、派手やかな生活を送っていた彼は、しばしば芸能界の話題をさらっていた。

彼は自身が逮捕されるまで、マカオに深く根ざしていることや、マカオと中国本土の間に犯罪者の引き渡し協定がないことなどから、なんとか「乗り越えられる」と信じていた。チャウ氏は相当な自信を持っていたためか、公安局から出頭勧告を受けていることを知っていても、逃げ出さないばかりか、逮捕前日の26日の夜も一晩中会議をしていた。

おわり


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