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ロックダウン続く上海のスーパーマーケット「カルフール金橋店」店長:25名のスタッフが19日間、店内寝泊まりで業務対応

中国メディア「中国零售信息」から、「ロックダウンが続く上海のスーパーマーケット:カルフール上海金橋店の店長:25名のスタッフが19日間店内寝泊まりで業務継続」を紹介します。


1ヶ月近くに渡る上海全体の都市ロックダウンにより、市内にあるカルフールのほとんどの店舗は営業を停止しているが、一部の店舗はなんとか営業を続けている。熊雪兵(ション・シュエピン)氏が勤務するカルフール金橋店もそのひとつだ。25名のスタッフとともに、食料や日用品などの物資の配送手配を支援し、夜はそのまま店内で寝泊まりする日々を送っている。すべては周辺住民や支援部隊に物資を提供するために。

基本的に外出などの移動は禁止されているため、ロックダウン中に店舗営業を続ける場合には、スタッフは帰宅ができず、店内で寝泊まりすることになる。

現在、ロックダウン下でネット販売&配送に対応しているカルフールの店舗は、先週に比べ倍増しており、さらに数を増やすため、いくつかの店舗は政府機関に対し、営業再開の申請を行い、環境評価の結果待ちをしている状態だ。うまく進めば、今週末には全店舗の約8割がネット販売&配送が可能となる予定である。この目標を達成するためカルフールでは、中国全土のカルフールからスタッフを呼び集めており、例えば武漢からは30名の支援スタッフがすでに上海入りしている。

カルフール上海金橋店店長であるション氏(44歳)の話

私は70代生まれの杭州人です。昨年3月に、カルフール本社から上海金橋店の店長として出向してきました。それ以前にも武漢や南京のカルフールで店長をしていたことがあり、各地で深刻な新型コロナウイルス流行下での店舗運営を経験してきましたが、まさか今回、上海でこれほど大規模な都市ロックダウンに遭遇するとは思ってもみませんでした。

髪は伸び放題ですし、体重も減りました。1カ月以上休みなしで勤務しています。浦東が閉鎖された3月28日から、私と残った25人のスタッフは19日間、店内の床で寝る日々を送っていますが、まだしばらくはこの生活が続くでしょう。

商品価格は従来通り、値上げはなし

当店は上海浦東地区の金橋ショッピングセンター内にあり、ロックダウン直前の新型コロナ流行期間中も営業していたのは当店だけで、周辺の他店舗はほとんど閉まっていました。当店半径3~5kmの範囲に10以上のコミュニティ(団地やマンションなど)に10万人近い住民が暮らす上海郊外の住宅地です。

4月3日、カルフール公式のWeChatアカウント内にミニプログラムが急遽立ち上げられ、店舗周辺住民のためのネット注文&配送業務が開始されました。住民は0:00〜12:00までにこのミニプログラムで注文を出せば、同日の21:00までには団地の入り口に品物が配送されます。またWeChatで各コミュニティ用にグループチャットも立ち上げ、自治会やリーダー達とも直接連絡が取れるようにしました。現在自宅で隔離されている当店スタッフにも協力を仰ぎ、これらのオンライン運営の整理や調整のリモート業務に対応してもらっています。

このような状況ですが、私たちは従来と変わらない価格で販売しています。通常、野菜や果物の共同購入セットは、ブラックボックス(中身が選べない詰め合わせ)と呼ばれるものが多いのですが、私たちは中身をすべて写真に撮り、わかりやすくラベルを貼っています。 例えば、80元(1,500円)セットは8種類の野菜、99元(1,900円)セットは鶏肉、豚肉、野菜、199元(4,000円)セットは豚肉、牛肉、鶏肉が入っていますが、どれも適正価格のため顧客は非常に満足しています。

当店では大型トレーラーでの搬入という本来のサプライチェーンを貫き、油、米、麺の供給は基本的にスムーズに確保できています。野菜、卵、牛乳、即席麺、小麦粉などが売れ筋で、あと即席麺や小麦粉は頻繁に品切れになってしまいます。野菜もここ数日は供給量が減ってきていますね。

注文の受け付けから発送までを迅速に対応する必要があるので、店舗のオペレーション能力が試されます。「移動許可証」を持った配送車両は当店に1台しかないため、近隣の地域であればスタッフが台車を使って配達し、少し離れた場所であればスタッフが電気自転車を運転して配達しています。住民は就寝前の23時までに注文を入れれば、翌日の昼までには物資を手に入れることができます。仲間から「浦東マップ」と呼ばれている90年代生まれの小劉(シャオリュー)は、もともと技術部の物流担当社員でしたが、今では1日86件の配送をこなす中心的な役割を担っています。

ロックダウン期間中に車を走らせるには「移動許可証」という証明書を取得している必要がある。

住民から頻繁に配送依頼の連絡が来ますが、例えば、粉ミルク、おむつ、あるいは生理用ナプキンなどの依頼も多いです。これらはニーズが限られており、共同購入では難しいため、個数は限られますができるだけ早く配送するようにしています。また、住民の中には「タバコやお酒は売らないのか」や「値段を上げる代わりにより多くの品目を選ばせてくれ」と言ってくる人もいますが、こちらの対応能力が限られているのと、住民の基本的なニーズを満たすことが先決なので、通常そのような注文は受けません。

またこのエリアには欧米人が多く住んでいて、彼らは独自の食習慣を持っているので、チーズ、パン、牛肉、チョコレートなどの注文がよく舞い込んできます。このような注文も共同購入パッケージ化することが難しいのですが、なるべく対応するようにしています。

ロックダウン中、近隣住民の方々と頻繁に交流し、密に連絡を取り合うようにしています。住民からはお礼の電話やチャットをくれる人、中には赤い封筒に入った1,000元(19,000円)の謝礼を渡そうとしてくる人もいましたが、現金は受け取りませんでした。このような非常時で誰もが大変な目に遭っているわけですし、私たちは自分たちの役割を果たしたまでです。

住民の支援はもちろん、公共機関の支援も私たちの仕事の一部です。ある日の晩、新国際博覧会センター(NIEC)の防疫対策チームから500個の夜食の注文があり、私はすぐにスタッフに配達を手配しました。私たちは一部の公共サービス部門向けに専門窓口を開設し、必要であれば緊急で配送できる体制も整えています。

1日300kgの精肉をひとりでカット

11,000平方メートルを超える当店は、ロックダウン中でも1日に約15の団地や企業に合計1,500〜1,800食分の食料品と日用品を配送している計算になります。大変な量ですよ。しかも通常は300人いるスタッフの仕事量を現在は25人で対応しているのですから、負担の大きさは想像以上のものです。

精肉販売部門では沈宇さんだけが男性スタッフで他は全員女性なので、精肉カットの仕事はすべて沈宇さんひとりが担当しています。1日に300kgの精肉をカットするのですから、手が痺れ、痛みで食事の際に箸を取ることもできず、夢の中でも肉をカットしているそうです。

入荷部門のスタッフは、毎朝4時すぎに起きて、新鮮な食材の第一陣を迎えています。特に生鮮食品の受け入れは過程も複雑で時間がかかります。20年来のベテランである史華(シー・ファー)さんは、新鮮な豚肉を受け取ると、まず受け入れ検査を行います。屠殺日の確認、豚肉の温度の計測、豚肉の脂身と赤身を確認するために7番目のリブで脂肪の厚みを測り、最後に重量計測を行います。検査に合格した豚肉には、7日ごとに色を変えたカルフール特製の日付ラベルを貼ります。

私は、監督と出納をメインに担当し、様々なコミュニティとのコミュニケーション、注文の収集、配送の追跡、出納、請求書発行などをしています。

スタッフたちは店内の床に発泡スチロールを敷いてベッド代わりにしています。掛け布団がなく、寝袋を巻いて寝ている人や、ベッドが小さく寝返りが打てない人など、とても快適とは言えません。ただ、他の店で寝泊まりしている人の中には、シャワーを浴びる場所がない人も多いと聞いています。幸い、当店にはシャワールームがあります。数に限りがあり、行列ができてしまいますが、それでもかなり幸せな方ですね。

大きなスーパー店内での生活ですので、食事の心配だけはありません。25人いるスタッフの中から2人を選んで料理を作ってもらっていますが、彼らもフルタイムで料理をしているわけではありません。 時間があるときは、配達や梱包の手伝いをしています。実際、店の清掃員も警備員も、暇になったら荷造りを手伝わされています。基本的に24時間体制で働き、自由な時間がほとんどないため、少し暇な時間ができたら仮眠を取るようにしています。

私は店長なので、特にスタッフの体調が一番心配です。連続勤務で疲れている人も多いですが、みんな何とか元気で自分の持ち場を守っています。私が一番心配したのは新型コロナの感染リスクで、店長の最も重要な任務は、店全体をコロナ感染から守ることです。隣のホテルに移動式のPCR検査場があるので、2日に1回はそこに行って検査をしています。

杭州にいる妻とビデオチャットをしていたら、「髪が長いね」と言われた時に、自分が1カ月以上連勤していたことを思い出しました。妻は私に「家に帰りたくないの?」と文句を言っていました。妻に対する罪悪感はありますが、使命が私の肩にのしかかっているのです。

25名のスタッフのうち、11名が女性、3名が20代の若者、私のように別の都市に家族がいる者もいれば、上海の自宅で隔離生活をしながらオンライン対応している者もいます。

新型コロナの流行が治まる日まで、25人で団結していきたいですね。

おわり


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