海外に長く住んでいると「日本と比べて中国はどうこう」、「イギリスと比べて日本はどうこう」といった二国間の比較の話になることが多くなりがちですが、当事者がいずれかの国に属している場合、比較自体があまり意味をなさない気がします。客観的な判断ができませんから。
中国メディア「国際大視野」に「一般のインド人は中国人をどう見ているのか?」という記事があったので紹介します。
内容はこんな感じ。
中国人はインド人を変わり者と見ているが、インド人もまた中国人を同じように見ている。さらにインド人は、中国人を馬鹿にしているだけでなく、汚いものを食べ、ひどく疲れて惨めな生活を送っていると思っている。
5年前、私は会社で月給4,500元のごく普通の技術者をしていたが、住宅価格が高すぎて人生に絶望していた。3年前から付き合っていた彼女とは結婚の話をする段階まで来ていたが、家が買えないという理由で合意に至らず、苦渋の選択で別れることになった。キャリアに希望が持てず、恋も破綻していた私の人生は暗闇に包まれていた。
当時、私の会社はインド市場を開拓しており、緊急に人手が必要だった。半月ほどインドに派遣されていた女性技術者は泣きながら戻ってきた。他の同僚は、家事で忙しかったり行きたくないと言っていた。
失意のどん底にあった私は、気分転換のために母国を脱出したいと思っていたし、海外に興味があったため、自ら志願してインドにやって来た。インドには2年近く滞在しており、まだ理解できていない部分もあるが、ある程度は理解しているつもりだ。

中国人から見たインドの第一印象
私が初めてインドに来たときの印象は「汚い」「ごちゃごちゃ」だった。当時、会社の寮はデリーの高級住宅街にあり、エリート富裕層や一部の外国人が住むエリアだ。近所は比較的きれいに整理されていたが、道路の向こう側は別の話だ。
ネットでよく見るゴミの山はスラム街にしか存在しないと思っていたが、まさかこの高級住宅地のすぐ外側の道路でゴミの山やハエがブンブン飛び交い、牛が行き来しているとは思わなかった。デリーの夏の暑さは40度以上になるし、匂いは容易に想像できるだろう。
そして、その隣にはスラム街がある。狭い小屋に5、6人の家族が詰め込まれ、黒くて背が低い小屋がたくさんあり、狭い道路には下水が流れていた。このスラムには小さな川の溝があり、さまざまなゴミが浮かんでいた。
その後、ムンバイ、プネ、ハイデラバード、チェンナイなどの大都市に出張したが、ムンバイの中心部の高層ビルが立ち並ぶ一部の地域を除くと、通りには3~4階建ての小さなビルが立ち並び、高層ビルはほとんどない。
空気は汚く、道は汚れ、交通は混沌とし、街は荒廃している。路上には物乞いがあふれ、スラム街もあちこちにあり、これがインドに来たばかりの頃の感想だ。
その後、インド人との付き合いが増えるにつれ、人々や文化に対する理解が深まっていった。特に、インド人が私たち中国人をどう見ているのかが気になった。
中国人は金持ちで騙されやすい
インド人は一般的に、我々中国人はお金持ちで、誰もがお金持ちだと思っている。最初は、中国で家も買えず、結婚もできないような貧乏人の私が、どうしてお金持ちと思われるのか理解できなかった。
インドの人口は約14億人で中国とほぼ同じだが、一人当たりのGDPは中国の5分の1の2,000ドルしかなく、一般人の賃金はさらに低い。配達人やタクシー運転手の月収は600元(1万円)程度だ。
オフィスで働くホワイトカラーの月収は2,000元(34,000円)で、家庭を築き、家族を支えるには悪くない額面である。月に5,000元を稼げるようになれば、すでにピラミッドの頂点の上位2%の人口に立っていることになる。
そのため、中国人がインドにやってくると、彼らからは高額所得者のお金持ち集団として見られる。 中国人はお金持ちで気前がいいと思っているのか、それとも簡単に騙せると思っているのか、インド人はよくその状況を利用してくる。
街中のタクシーは、中国人であれば、通常の数倍の値段をふっかけてくる。支払いの際に運転手が釣り銭をごまかすのは日常茶飯事だ。社内のスタッフは言うに及ばず、食料品の購入から事務機器の購入まで、価格を誤魔化して差額をポケットに入れる。
中国人はケツをきれいに拭かない
ここが一番信じられない点だ。インドに行く前に、インド人はお尻を拭くときに紙を使わず、左手で拭いて、その後水で手を洗うと聞いていた。
実際にインドに来てみると、それがよくわかった。インドのトイレには紙はないが、手を洗うための水の入った洗面器があり、少し高級なトイレにはスプレーノズルがある。
慣れてきたところで運転手に「インド人は左手でお尻を拭くときに汚れが気になりませんか?」と聞いてみた。
驚いたことに運転手は、「紙で拭いても汚いだけだ。我々インド人は拭くときに水でお尻を拭くが、君は紙を使っている、どうやって綺麗に拭くんだ?」と言う。
そう思っているのは彼だけだと思っていたが、他のインド人に意見を聞いてみると、そう思っている人がたくさんいることがわかって驚いた。
私がこの質問をして以来、運転手は事あるごとに、私に手でお尻を拭くことを勧め、「紙の節約になるし、痔の防止にもなる、それにインドの文化に深く触れることができるだろう」とメリットを自慢してきた。こうなることがわかっていれば質問などしなかったのに、と後悔している。

中国の食べ物は汚くて恐い
私のインド料理に対する意見は、一言で言うと「魅力がない」だ。すべての野菜をペースト状にしてしまい、見た目もイマイチで食欲も湧かない。インドに来たばかりの頃は、本場のカレーに興味を持って何度か食べたが、毎回下痢をして気が狂いそうになったこともあって、それ以降、衛生的で魅力的なインド料理からも遠ざかるようになった。
まさかインド人が中華料理に対して同じような意見を持っているとは思わなかった。中国人が豚肉や牛肉を食べることを知ると、嫌な顔をすることが多い。運転手からは「今後は豚肉を食べるのはやめなさい、汚すぎる。それと牛肉を食べるのは神に罰せられる罪だ。きれいな魂のためにはできるだけベジタリアン料理を食べたほうがいい」とアドバイスされた。私が鶏の足や卵を食べている写真を見せると、彼はとてもショックを受けて呆れてしまい、「中国人はとても恐ろしい、私はもう二度と君にベジタリアンになることを勧めることはないだろう」と付け加えた。

中国人には宗教がなく、祝福してくれる神々もいない
インドの人々はみな宗教的で、特にヒンドゥー教が人口の80%を占め、イスラム教は15%、残りはシーク教とキリスト教となっている。
私たち中国人は古来より世俗主義者ですが、インドに来てその話をすると、インド人はいつも信仰を持つことが高尚なことであるかのような、言い知れぬ優越感を露わにしてくる。
「神を崇拝していない中国人は、困難に遭遇したときにはどうすればいいのか」と運転手に聞かれ、私は「何とか克服する方法を見つけるしかないさ」と答えた。すると運転手は私に「神のご加護なくして困難を乗り越えることなどできないのだぞ」と哀れみの言葉をかけてきた。
彼らの考えでは、何があっても神の祝福を受けなければ成功しない。中国人は神を信じないので、問題が起きると大変なことになるそうだ。

中国人男性は弱すぎて尊厳のない生活をしている
安月給で車も家も買えず恋人と別れた経験を運転手に話すと、彼は憤慨した表情を見せた後、興奮気味に語り出した。
「お兄さん、あなたたち中国の女性はとても無礼で、どうしたら男性にこんなにも不当な要求ができるのか?よくもまあ、そんなたくさんのものを男性に求められるものだ。家や車?女性は頭がおかしくなったのではないか?私たちインド人男性を見てください。私を見てください。私が結婚したとき、私は花嫁費用を1円も払わず、家や車のことも考えませんでした。その上、義父は私に50万ルピー(80万円)の持参金とバイクをくれました。私の新しい携帯電話も義父が買ってくれたたものです。私たちインド人男性を見てください。中国人男性はどうしてそれほど惨めで、尊厳がない生活ができるのでしょうか」。
私は彼の言葉に唖然としたが、それだけではなく、彼は私の上司も笑い物にした。私の上司がインドに来たとき、上司の奥さんも一緒に来て、会社の事務作業を手伝っていた。
運転手は「君の上司を見てみろ、全然男らしくないだろう」と言った。「 一日中、妻に服従していて男の威厳がないのだ。毎日、家で料理や洗濯、掃除をしているそうだが、どんな話をしているのか?前回は奥さんの肩を揉んだり、マッサージをしたりしていたが、最後には足のマッサージまでしていただろう。ああ、何てことだ恐ろしい。インドでは、そんなことをするのは最下層の使用人だけだ。中国人男性は家でどんな生活をしているのか、君たちはまだ男なのか?」とたたみ込まれた。
彼の言葉を聞いていると、まるで100年前の中国にタイムスリップしたかのような感覚に襲われた。 その後、インドの文化を知るにつれ、インドでは男尊女卑の文化がとても強いことをよく理解できた。
インドでは女性の社会的地位が非常に低く、ヒンドゥー教の古典「ラーマーヤナ」の中には、女性は義務として男性に奉仕することが求められると説く経典がある。レストランのウェイトレスはほとんどが男性だし、ほとんどの女性は専業主婦として人生を過ごす。
インドの結婚習慣が中国と異なるのは、男性は結婚の際に持参金を払う必要がないが、女性は高額の持参金を払わなければならないことである。持参金が原因で義理の家族から虐待を受けることも珍しくなく、持参金が少なすぎたために義理の家族に焼き殺されたという嫌な事件もあったくらいだ。
中国人はワーカホリックで生きるのに疲れている
特に建設業界では、インド人の効率の悪さは信じられないほどである。私がインドに来たばかりの頃、近くの通りに建設現場があり、オーナーが4階建ての小さなビルを建てようとしていたのを覚えている。私が最初に通りかかったときには1階部分ができていて、2年後にインドを離れたときには3階部分が始まったばかりだった。

私はこの現場を観察していたが、インド人は朝が遅いだけでなく、常に3人が見ながら1人が作業をしていた。30分ほどゆっくりと仕事をした後、またグループでおしゃべりを始め、お茶を飲んだりして、午後の早い時間に仕事を終えていく。
この現象について運転手と議論したことがあるが、驚いたことに運転手は「中国人は急ぎすぎだ、みんなワーカホリックだ、ゆっくりすることを知らない」と言った。「私たちインド人は、あなたのようなやり方ではなく、仕事をより楽しむために時間をかけている。あなたたち中国人が私にくれる給料が高くなければ、私はここでは働きたくない」。

「中国には996(朝9時から夜9時、週6勤務)で仕事をしている会社がたくさんあるんだ」と言うと、彼はショックを受けたように、「インド人がそんなことに遭遇したら大騒ぎになるぞ、あなたたち中国人はよく我慢できるものだ」と呆れて言った。
私は彼に「中国の若者たちが996で働くことを望んでいるからこそ、インドのあなたよりも効率的に働き、より多くのお金を稼ぎ、より速く成長しているのだ」と答えたが、まさか運転手に、
「あなたはどこで稼いでいるんだ?毎日一生懸命働いているのに、家も買えないし、結婚もできないじゃないか」
と言い返されるとは思わなかった。「あなたは私ほど裕福ではありません」とも。
おわり
※インドの人口や宗教などの基本データについてはこちらをどうぞ。