ショートムービー共有サービスで世界的人気アプリのTikTokの親会社、バイトダンス創業者兼CEOの張一鳴(チャン・イーミン)が、2021年末までに現職を退任するというニュースがありました。
張一鳴は、TikTok以前に「今日頭条」というニュースアプリでも大きな成功を収めており、若くして巨額の財(2021年時で$44.5billion)を築いたシリアルアントプレナーとして有名です。様々なメディアで取り上げられているので、張一鳴のサクセスストーリーが気になる方はググってみてください。

Alex Zhuって誰?
ここでは、もう一人の元CEOである「Alex Zhu」について紹介します。中国発のアプリTikTokが中国はもちろん、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本やその他のアジア(つまり世界中)で大人気のアプリになった理由は、バイトダンスが2017年に買収したMusical.ly(ミュージカリー)という、当時すでにアメリカで大流行していたショートムービーアプリを買収したからでした。
このMusical.lyは、当時シリコンバレーで活動していたAlex Zhuと彼の長年の友人であるLuyu Yangの二人が2014年にリリースしたアプリです。まずは中国とアメリカの二大市場でローンチし、それぞれの反応を確認すると、アメリカでの反応が中国より圧倒的に良く、また当時の開発チームが小さかったこともあり、まずはアメリカ市場に注力することにしました。

安徽省出身のAlexは、中国の最高峰大学の1つである浙江大学を卒業した後に、アメリカのWebEx、ドイツのSAPといった大手業務ソフトウェア外資企業でプロダクトデザイナーとして上海とシリコンバレーの二拠点でキャリアを積み、その後独立しています。中国国内のIT企業でキャリアを積んできた張一鳴とは対照的と言えるでしょう。
余談ですが、北京大や清華大のように北京市民や一部の少数民族が入試で優遇される大学とは違い、全国に対し平等に開かれた「浙江大学こそが真のナンバーワン大学である」と言う人もいる。
ショート動画共有アプリとしての完成度の高さこそがTikTokの強み
今日、TikTokが世界中のユーザーから高い支持を得ている理由の1つに、ユーザーの趣向を理解し、ユーザーが好みそうなショート動画をエンドレスに流し続ける優れた仕組み(アルゴリズム)がありますが、もう1つの理由に動画共有アプリとしての完成度の高さがあると思います。
心地よい操作性、おしゃれで若々しいビジュアル、テンポよく流れる動画、これらはまさにAlexが得意としていたユーザーセントリックなプロダクトデザインそのものです。
バイトダンスによるMusical.ly買収完了後の2018年からAlexはTikTokのCEOに就任、同アプリの世界展開の加速に貢献するも、米中貿易戦争でトランプ前大統領によって槍玉に挙げられた時期に、CEOの座をアメリカ人であるケビン・メイヤーに譲っている。
Alexのストーリーについては、ビジネスインサイダーでより詳しく書かれています、彼に興味が湧いてきたら是非読んでみてください。