「テレ東BIZ」のYouTubeチャンネルで、中国Tech格安ミニEVの実力というタイトルの動画がアップされていました。動画内でも紹介されている五菱宏光MINIEV(ウーリンホンガン)、上海の街中でもちらほら見かけるほど売れています。
五菱(ウーリン)という中華メーカーがの宏光は車両価格が3万元〜(50万円〜)で最安値EVの1つです。
元祖格安中華ミニ「QQ」の存在
中国では今も昔もメンツ重視のSUVやセダンが大人気ですが、実はこの手の中国版軽自動車は、昔から中華メーカーで作られていました。
車好きや中華ガジェット好きであればご存知かもしれないが、15年ほど前「QQチェリー」という名称で愛された元祖ミニがありました。
当時、テンセントのチャットアプリケーション「QQ」が大流行していた時代。このQQチャットの存在感は今でいうLINE(ライン)以上のもので、携帯電話にすら匹敵するほどのインフラでした。そんな時にあえてQQの名で世に出た車こそが「元祖格安中華ミニ」なのです。

安かろう悪かろうが当然の前時代
販売価格はおよそ30〜35万円(2万3千元)ほど。当時、庶民の所得はかなり低く、車を所有できるのはお金持ちだけでした。そんな中「格安ミニQQ」は若者や庶民の心をつかんだかというとそうでもなく、ブサかわフェイス、プラ感満載ボディーのQQは、格安にも関わらず人気車にはなりませんでした。
一分钱一分货(イーフンチェンイーフンホウ)、便宜没好货(ピャンイーメイハオホウ)つまり「安かろう悪かろう」という言葉が日常的によく使われていた前時代。「QQ」の乗り心地が最悪なのは、買う前からわかっていたのでしょう。
中国では車の購入時にナンバープレートも買う必要があります。当時、地方だと10万円以下なのに対し、北京・上海では100万円以上していました。(現在は200万円ほど)ナンバープレートに100万出せる金持ちがQQを買う理由はありませんでした。

一定の信頼が得られるようになった国産ブランド
話を「五菱宏光」に戻しますが、その前に「国潮」と呼ばれるトレンドについて簡単に説明しておきます。
ここ数年、「ファーウェイ」や「シャオミ」をはじめとする勢いがある中国ブランドの名前をよく聞くようになりました。その動きは今、スマートフォン業界の枠を超えてあらゆる分野に広がりつつあります。
最新鋭の設備が整った工場が中国国内で爆発的に増えたことで、安価ながらも、デザインも品質も結構いいじゃん的な中国ブランドが目立つようになってきたのです。
このトレンドはプロダクトに限らず、ファッション、ゲームなどよりクリエティブな分野にも広がってきています。詳しくは「中国の美大卒業生が活躍できる機会が爆増中」でも解説しています。

「五菱宏光MINIEV」人気もこの国潮トレンドの一部であることを理解しておくべきでしょう。実際、五菱宏光は中国人に受け入れられているようで、かなり売れています。
とは言え、停車中の車(おそらくバッテリー)が突然火を吹き出したといった事故がまだ散見される今日において、安全性への意識が高く、そして駐車スペースが限られた大都市の市民には、まだ限定的な気がします。
他社の中華格安EVが気になる方は、この記事で「中華メーカーの格安電気自動車って宏光以外にどんな車種があるの?車両価格は?」五菱宏光のライバル車を紹介しています。