スマートニュースでヘッドラインを斜め読みしていたら、「社員の平均月給は130万円 好調続く中国IT大手・テンセント」という記事に目が留まりました。いったいどんな計算をしたら平均月給が130万円になるのか気になって記事を開いたら、とんでもなかったので少しお話ししたいと思います。
記事中の計算方法はこんな感じでした。
第1四半期の総報酬費用は204億100万元(約3480億円)で、前年同期の151億4300万元(約2582億円)から大幅増。3月末現在の従業員数8万9228人で計算すると、社員の平均月給は7万6000元(約130万円)となった。
色々と強引すぎますね。まず中国では春節(旧正月)直前に社員にボーナスを出します。第一四半期は1月〜3月ですので、この「総報酬費用」には1年に1回のボーナス費用が含まれます。
次にこの「総報酬費用」には、役員報酬も含まれていることに注意しないといけません。役員がもらう金額は社員の100倍〜1000倍が普通です。一般社員がボーナスとして100万円支給される場合、役員には5億円、10億円の臨時報酬が用意されていると思っておいて間違いないです。
また同記事によると、「付加価値サービス事業がテンセント全体の収益の過半数を占める。付加価値サービス事業には、ゲーム事業をはじめ、ソーシャルネットワーク事業やオンライン広告事業などが含まれる」と説明しています。
ゲーム事業というのは、ギャンブル性が非常に高く、当たればぼろ儲け、外れたら大赤字になるビジネスです。
テンセントは数百名からなる大規模なゲーム開発部門である「光子工作室」を抱えており、この部門の従業員の半分は年収が100万元(1700万円)を超える。そしてゲームが大ヒットした場合は超特大ボーナスが支給されるのです。
「原神」というタイトルのゲームを開発・運営している上海のゲーム会社「MIHOYO」は、2020年夏に「原神」が世界で大ヒットしたため、2021年2月のボーナスでは全社員に月給24ヶ月分が支給されたそうです。

同記事とよく似たもので「ファーウェイの大卒初任給が100万円」なんてタイトルの記事も一時期よく見かけましたが、当然ながら、ごくごく一部の超エリート新入社員だけがもらえる金額です。中国はアメリカと同じく二極化が極端に進んでいる国です。この手の数字にくれぐれも騙されないでくださいね。