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中国ビッグテックで働くプログラマーたちは自身の仕事環境をどのように考えているのか

アリババ

先日「人工知能大会」というAIの展覧会が上海で行われました。ビジョンファンドが投資している中国版ウーバーのDiDi(嘀嘀出行)が米国で上場した3日後に中国政府から制裁を受けたことで、株価が大幅下落している中、孫正義氏が「人工知能大会」にビデオ会議でスピーチしていたので、自分の中で話題になっていました。

「人工知能大会」の展覧会については、本文の最後で詳紹介しています。

今回は中国テック系メディアの「CSDN」からの1本。記事の内容はこんな感じです。


今時の就職活動では「一攫千金を狙う」または「夢を追いかける」のではなく、それなりの収入があり、市場が不安定な中でも比較的安定しているビッグデックへの就職を選ぶ人が増えているようです。

しかしビッグテックでの仕事は想像しているほど良いわけではなさそうです。無意味な競争(内巻)が加速する中で、どのように適切なビッグテックを選べば良いかは、ネットでも度々大きな議論になっています。

「CSDN」は、バイトダンス、アリババで働くプログラマーに、彼らの仕事についての話を聞き、経験を共有してもらうことで、ビッグテックへの就職を希望する人たちの参考になればと思っています。

常に疲れている事を除けば悪くないが最後は生活のために辞めた

王磊(ワン・レイ)さん、バイトダンス開発部

私は大学で農業経済学を専攻していたため、他のビッグテックでは履歴書審査が通らず、バイトダンスだけが内定をくれたので、即決しました。バイトダンスに入社して半年ほど経った頃、特に大きな理由はなかったのですが「とにかく疲れた」という理由で辞めました。

バイトダンス時代は、基本的に毎日夜11時に退社し、就寝は午前1時や2時になることが多かったです。

翌朝の勤務時間に制限はありませんでしたが、毎日朝早くから深夜までがむしゃらに働き、お金を稼ぐのは自分の理想的な人生ではないと感じていました。

一言で言うと、バイトダンスで働くメリットは、高い給料です。私は新卒でしたが月給は2万元(35万円)以上ありました。もしAIアルゴリズムなどのコア開発のポジションであれば新卒でも4万元(70万円)はもらえます。

技術重視の雰囲気はバイトダンスの社風の1つですが、それはプログラマーの平均的な技術力の高さだけでなく、社内で管理されている「学んで実践で使える技術資料」にも反映されています。

これらの内部資料は、社内の多数のプロダクトラインの技術部長から提供されたもので、モジュール別に学習過程が用意されているため、その過程に沿って開発を学ぶことができ、大きな壁にぶつかる事もありません。これは外部の有料コースよりもはるかに優れています。

この会社は若い人の割合が多いので、業務のコミュニケーションが円滑で、様々な奇抜なアイデアが出てくることも多く、技術者同士の交流やコラボレーションも非常に純粋なものが多いです。

給与面では、一般的に年俸が15ヶ月分、3ヶ月分はボーナスで業績に連動していて、大ヒットサービスが出れば、数百万元が支払われることも不可能ではありません。昇格のチャンスは年に2回ありますが、他のビッグテックに比べてバイトダンスの役職は多くないので難しいと思います。

あと隠れた金持ちが多いですね。私の同僚でスーパーリッチな美人がいるのですが、彼女は国内のあらゆる観光都市に家を持っていて、しばらく仕事をすると、休みを取って家政婦さんを連れて旅に出ています。彼女にとって仕事に来ることは、運動のようなものかもしれません。

またお金持ちの古参社員も大勢います。彼らは、数年前の自社アプリの大成功で大金をつかみ、大きな別荘に住み、中には自宅でワニやサメを飼っている社員もいます。

デメリットは仕事が疲れることです。疲れる原因は、会社の仕事に対する要求がとても高いからですが、この他にも、これはビッグテックの共通の問題ですが、仕事の内容が最先端でも革新的でもないのも理由の1つです。面接時には「航空機を設計する」みたいに言われますが、実際は「ネジを留める」ような仕事がほとんど。ビッグテックは私たち個人の幅広い知識や突出した能力を必要としていません。なぜなら、ほとんどの仕事は反復的な作業ですから。

もう1つのデメリットは、敷居の高さです。中途採用であれば、コミュニケーション能力はもちろん必要ですが、運にもかなり左右されます。たまたま人手が足りず、自分のスキルと一致した場合は、問題なく入社できるでしょう。しかし、もしあなたが新卒でバイトダンスに入社したいのであれば、エントリーする大学生の履歴書が多すぎるため、国内1流大学卒が条件となります。2流3流大学の学生であれば、派遣社員として入社しなければならないことが多く、派遣社員の給料は、正社員と比べ月とスッポン、昇給の機会も得られません。

最近は様々なソーシャルメディアでバイトダンスの悪口をよく見かけます。例えば「競業避止義務契約」に対する文句です。私も入社時に署名しましたが、決められた退職方法で退職すべきです。ネットで文句を言う人たちは、おそらくリーダーとの関係が悪かったために、不快な経験でもしたのでしょう。もちろん私は役員でもないので、他人がどう思っていようが関係ありません。

また、リーダーは間抜けな奴らばかりだ、と文句を言う人もいますが、私が見てきた限りでは、これはあくまで一部です。私が知っているリーダーの1人は、チームメンバーへの思いやりがあり、もしメンバーに対抗してくる外部の人がいれば、まず相手を疑い、そしてすぐに対策を取ります。そのためチームメンバー同士の絆も深く、よく一緒に食事をしたり、マーダーミステリーゲームで遊んでいます。

自分のキャリアを選ぶ際、自分が入る部署や社内環境を十分に理解し、客観的かつ徹底的に調べることが重要です。

新卒であればバイトダンスに入ることを強くお勧めします。この時期は熱意に満ちあふれているため、バイトダンスの業務をこなすことで高い技術と経験を習得できるからです。

評価が悪い10%を首にする社内システムが内巻(無意味な競争)の元凶

李溢(リー・イー)さん、アリババ開発部

私はアリババで3年ほど働いています。以前は優酷(Youku)で開発チームにいたのですが、優酷がアリババに買収されたのを期にアリババ社員になりました。

買収された時に面接を受けたことを覚えていますが、アリババの面接官は、特定の分野に対する技術知識の深さを求めていました。

アリババに加わった時に、私が期待していたのは自分の技術力の向上でした。当初は、アリババが貯め込んだ経験知識や技術、インフラの一部を利用して、あらゆる面の能力を向上させることができると考えていましたが、実際は、自分自身に頼る他ありませんでした。

アリババの業務ペースは速く、仕事中は高い緊張状態にあり、おまけに残業も多いため、自分の生活の時間を除くと、セルフ学習の時間はまったく足りません。

残業は強制的なものではなく、361評価の最後の1人にならないための無意味な競争(内巻)が理由であることが多い。361とは、10人のうち3人が優秀、6人が平均、最後の1人が劣等という人事評価システムのことです。

上から5.0、4.0、3.75、3.5、3.25の順にポイントが付き、3.25が付いた10%の社員は、今年は昇格のチャンスがないだけでなく、アリババでの収入の多くを占める春節前のボーナスも支給されません。

例えば、成績が3.5の場合、ボーナスが5ヶ月月分、さらに本来もらえるはずの1ヶ月分を加えて、年間で合計18ヶ月分の給与が与えられ、さらに上のポイントでは10ヶ月分のボーナスが支給されることもあります。業績がもう少し上がれば、年末のボーナスに加え、500~2000株が支給されます。

昇格に関しては、P5からP6、P6からP7になるのはそれほど難しくありませんが、それ以上は競争が激しく難関になります。

給与はたくさんもらえますが、この人事評価システムでは常に監視されているような感覚になり、みんなが緊張しているので、夜中に電話やチャットが来て、すでに寝付いていても迅速に対応するなど、コミュニケーションと協調の姿勢の両方がよくなければなりません。

評価で叩かれないようにするために、常に自分を奮い立たせる必要があります。長い目で見ると、心身に大きな影響が出るし、この人事評価システムでは排除されるのは末端の一部だけですが、社員全体の生産性にもある程度の影響が出てきます。

もし、他の部署があなたのビジネスを支援していて、彼らがあなたのチームがうまくいっていないと感じれば、彼らは上司にネガティブなフィードバックをすることができ、もし彼らが交戦的でズル賢い気持ちがあれば、あなたのビジネスは報われず、その年のあなたの評価が3.25になる可能性もあります。

会社で嬉しい部分といえば、無料の食堂、ジム、マッサージルーム、人間工学チェアを備えた大型ワークステーションなど、基本的なものが揃っており、同僚との関係も、多少の競争はあるものの、かなり良好だと思います。

また、会社はビッグピクチャーを描くことが好きですが、そのビッグピクチャーが本当に達成できた場合、追加ボーナスや株などの高額インセンティブが付与されるため、最終的にはお金がプログラマーの闘争心の核となります。

新卒のプログラマーには、より包括的に広く技術が学ぶことができる会社に行くことをお勧めします。なぜなら、アリババのような会社では、1つのモジュールを担当することが多く、知識の幅を広げることができないからです。特定の技術をより深く追求することはできますが、技術的な幅の広がりがほとんどありません。

スタートアップのような小さな会社に入れば、より幅広く技術に触れることができ、ある程度経験を積んで、2、3年後にアリババのような大企業に入って特定の技術の追求を行うことが適していると思います。


展覧会で目を引くのは大企業や有名ブランドの派手な大型ブースですが、私は隅っこの方で軒を連ねている小型ブースを1つ1つ見て回るのも楽しみの1つだったりします。

狭いブースに立って自社サービスを説明してくれる人は、自分たちがサービスを開発している当事者であるため、説明にも熱がこもりがちです。

今回特に熱かったのが、「GALAXYBASE」というプロダクトを開発しているスタートアップ「創領科技」でした。私が話の内容をあまり理解していないことを知ってか知らずか、ひたすらデータベースのデータの関連性をグラフで可視化する自社技術を説いてきたのですが、熱意だけは伝わりました、と返すことしかできませんでした。

「人工知能大会」全体としては、「金融(デジタル人民元)」、「車や配達ロボットの自動運転」、あとは「産業ロボット」関連のコンテンツが8割を占めていました。この規模でAIだけを題材とした大型展示会ができる国は今やアメリカか中国ぐらいかもしれません。

色々考えさせられる展示会でした。

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