中国メディア「52ヘルツ実験室」から「日本は水素に、中国は電気に賭けた。最後はどちらの賭けが正解となるか」を紹介します。
今日、中国ではいたる所で電気自動車を見かける。二輪車に限って言えば、すべて電動スクーターだ。中国は国を揚げて電動化の道を推し進めている。
しかし、日本の状況はまったく異なる。彼らは水素の道を選んだようだ。
もちろん国が違えば選択も違うのは当たり前で、悪いことではない。しかし時に異なる選択をすることが、その国の将来の産業発展の方向性を決める「国運をかけた戦い」のようになることもある。
新エネルギー戦略おいて、日本は水素に、そして中国は電気に賭けている。最後はどちらが勝者となるのだろうか。

日本の水素エネルギー
ご存知のように、日本は小さな国であり、長い災害の歴史を持ち、資源が極端に不足しているため、石炭、石油、天然ガスのほとんどを輸入に頼っている。
そのため、日本のエネルギー安全保障を確保するために、一刻も早く代替エネルギーを見つけたいと考えていた。
しかし、福島原発の放射性物質の漏洩問題に直面して以来、日本人は原子力に恐怖を感じ、研究を中止せざるを得なくなった。
原子力よりも安全で、効率が良く、クリーンなエネルギー源はないのだろうか?
そこで日本が注目したのが、水素エネルギーだった。
水素エネルギーの利点は何か?
まず、水素はガソリンや軽油、天然ガスに比べて燃料の発熱量が非常に大きい。
燃焼後、水素と酸素は水になるだけで、低公害が求められる日本にはぴったりといえる。
2014年には日本初の商用水素自動車が発売され、2021年には日本初の水素自動車である第二世代トヨタ・ミライが発売された。

興味深いことに、この車はガソリンはもちろん、リチウム二次電池もエネルギー源として使用せず、水素電気モーターを使用している。
また、第一世代では2つだった水素タンクが、第二世代では3つの水素タンクが搭載され、エネルギー貯蔵の面でも大きな進歩を遂げている。3分間の水素補給で、約850kmの走行が可能で、使用感は基本的に通常の燃料車と同じだ。
日本では、水素自動車に加え、水素バス、輸送車両、トラックなどの開発・生産している。
日本における水素エネルギーの開発と利用は、水素の製造から貯蔵、利用までの新しいエコロジカルな産業チェーンを最初に形成し、広範囲に渡り数多くの水素エネルギー関連特許を取得している。
ちなみに、東京オリンピックの聖火も水素を燃料としており、選手村の電力には日本初の総合的な水素エネルギーシステムが採用されている。
日本は、水素エネルギー技術をアピールするために、オリンピック開催という国運に賭けているとも言えるかもしれない。

中国が電気を使う理由
水素エネルギーがそれほどいいものなら、なぜ中国は使わないのだろうか?
中国が水素エネルギー自動車を使用しない最大の理由は、水素が爆発しやすく、それを解決する有効な安全技術がないことだろう。
リチウム電池の爆発が手榴弾に相当するならば、水素タンクの爆発は爆弾に相当する。
昔、街中で売られていた水素風船を覚えているだろうか?水素風船が爆発して怪我をしたという事故が多発したため、現在はヘリウムに置き換えられている。

前世紀初頭には水素飛行船も開発されていたが、相次ぐ不幸な事故で航空機に取って代わられてしまった。
だから、この致命的な安全性の問題を解決しない限り、水素に未来はないかもしれない。
中国の市場は巨大だ
ここで私なりの見解を述べさせていただくとしよう。
日本は世界で初めて水素エネルギーに大きな賭けをした国であり、日本が正しければ、水素エネルギー産業は日本の石油・ガスへの依存を解消し、世界の新エネルギー産業チェーンのトップに立つことができる。
しかし、水素エネルギーの日本は絶対に勝てない、それはなぜか。
今の時代、どんなに優れたものでも資本の投入が必要であり、資本は利益を追求し、必然的に巨大な市場を求める。
「お金眠らない」という言葉をご存知だろうか。
新しい技術がまだ成熟しておらず、十分に市場に普及していない今日、日本と中国のどちらの市場が大きいだろうか?その答えは、地球上の誰もが知っているはずだ。
そのため、中国市場には資本が集まり、資本が投入されることで、波に乗るように技術が発展していく。
要するに、日本が間違った技術の芽を植えたのではなく、日本にはそれを育むだけの十分な市場がないということだ。

1964年に作られた新幹線は、最高速度が時速240〜320キロに達したが、しかし、日本の人口は1億人を超えたばかりで、市場規模もさほど大きくもなかった。
一方、中国の高速鉄道は、その巨大な市場と需要のおかげで、今やあらゆる面でそれを凌駕している。電気自動車についても同様だろう。
もう一つ言えることは、水素燃料電池の特許は日本がほとんど持っているため、中国が水素を選ぶということは「鴨が葱をしょって来る」を意味するため、ひとまず日本のことは完全にスルーした方が賢明だろう。
将来的には、中国の充電ステーションが、ガソリンスタンドのように広く普及し、充電が給油のように速くなり、バッテリーの技術革新が続けば、電気エネルギーは新エネルギーの大きなトレンドになるのは間違いない。
先日、バイデン米国大統領が、2030年までに新車販売台数に占めるゼロカーボン排出車の割合を50%にするという大統領令に署名し、プレスリリースの後、大統領自らが車両を先導して、電気自動車のジープ・ラングラーでホワイトハウス南側の芝生を走り回った。

日米同盟のことはご存知だと思うが、ビジネスの前では何の意味もないだろう。
中国と日本は、新エネルギー分野で競い合っているが、勝負はすでに決まっている。
なぜなら、中国の市場は巨大であるから。
今後、中国と米国は、電気エネルギー市場で激しい競争を繰り広げることになり、この競争は、電池、電気駆動装置、運転支援技術、自律走行技術など、関連する支持産業を大きく牽引することになるだろう。
イーロン・マスクはかつて「人類の未来は電気の時代だ。自動車だけでなく、トラックや船、飛行機も電気で動くようになる」と言っていた。
その時になって、日本は泣くことになるのだろうか。
おわり