中国では国慶節の大型連休が始まりましたが、今年も海外旅行に出る人はほぼゼロで、代わりに中国国内旅行を楽しんでいる人が多いようです。
最近は「宇宙」関連のニュースが多く、常に関心を集める話題となっていますが、果たして私が生きている間に「次の国慶節には月面旅行に行ってくる!」と言える日は来るのでしょうか。
今回は、中国メディア「火星一号」から「月の裏側に隠された秘密とは?中国の人工衛星からの映像が隠された真実を明らかにする」を紹介します。

国慶節のこの時期に、地球からは見えない月の裏側では、中国の「嫦娥4号(チャンアー4)」と「玉兎2号(ユートゥ2)」がまだ稼働していることを忘れてはいけない。当初、月の裏側で3ヶ月間だけ働くように設計されていた玉兎2号は、今では1000日もの時間が超過し、すでに839メートルの距離を移動している。

嫦娥4号以前には、探査機も人類も月の裏側に行ったことはなかった。月の裏側は常に地球に背を向けているため、ますます神秘的な存在になっている。嫦娥4号は、月の裏側の南極にある非常に古い巨大クレーターのエイトケン盆地に着陸した。ここで科学者たちは2200兆トンの重さの異物を発見している。では、これらのものはどこから来たのだろうか。神秘のベールに包まれた月の裏側を探ってみよう。

「月は回転していないので、月の裏側は見えないのではないか」「これはごくまれな偶然ではないか」と考える人もいる。しかし当然ながら、月が回転していなければ、地球の周りを回っているときに、月をいろいろな角度から観察することができ、月のすべての面を見ることができるので、月の表と裏という概念はないはずだ。
実のところ、これは偶然の現象ではなく、とても普通の現象だ。月の部分によって地球の引力の強さに差があり、それが潮汐力(ちょうせきりょく)の影響となる。月の一部が地球に近ければ近いほど、その力は強くなり、その結果、月は引き伸ばされ、地球に近い側と遠い側に潮汐の膨らみができる。

遠い昔、月の自転は今より速く、月の潮汐による膨らみに地球の重力が作用して月の回転が妨げられていたため、月の自転角運動量がどんどん減っていき、月の回転がどんどん遅くなっていったというわけだ。そしてある日、月の自転の角速度が地球を回る軌道の角速度と一致するようになり、潮汐のロック状態となった。
このように、月が軌道上で何度回転しても、月は自転軸を中心に同じ度数だけ回転するため、月の裏側が地球から見えない状態になる。この現象は、木星によりロック状態にされた4つの大きな月や、土星にロック状態にされたタイタンなど、太陽系ではよく見られる現象である。冥王星とカロンは、さらに珍しいことに、お互いにロック状態にしている。
人類が月探査機を打ち上げ、月の裏側まで飛んで初めて、月の謎が解き明かされたのである。月の裏側は、黒い月の海が広がる表側とは異なり、地球を隕石から守るために月が残した「傷跡」であるクレーターが多数存在していることが印象的だ。
月自身が障害物となるため、月の裏側で電波を発信して地球と直接交信することはできない。嫦娥4号の前に、中国は地球と月の通信を中継するために特殊な軌道を回る衛星「鵲橋(チュエチャオ)」を打ち上げた。
この鵲橋号の助けを借りて、嫦娥4号と玉兎2号は地球と通信することができている。嫦娥4号が位置するエイトケン盆地は、40億年前、月がまだ5億年しか経っていなかった頃に、巨大な小惑星の衝突を受けて形成されたと考えられており、月で最も古いクレーターが存在するというユニークな場所だ。

クレーターの直径は約2500キロと非常に大きいが、月の半径はわずか1737キロ、円周は10911キロしかない。そしてエイトケン盆地の地下290キロの深さのところには、ギザの大ピラミッドの3.8億倍の質量に相当する高密度の金属塊が検出された。
分析の結果、この金属の塊は主に鉄とニッケルで構成されており、これは地球のコアの組成と似ている。この巨大な金属の塊がどのようにして月の地下深くに閉じ込められたのか、科学者たちはよくわかっていないが、現在、主に2つの説がある。
1つは、昔、盆地に衝突した隕石は、鉄やニッケルを多く含むコアを持っており、月面に衝突した際に大量の金属を持ち込み、それが時間をかけてゆっくりと地面に沈んでいったという説。もう1つは、昔、月面には鉄やニッケルの鉱物が大量に存在しており、小惑星がそれらの鉱物に衝突した際に、その熱で鉱物が溶けて地中に沈んだという説。また、古代の巨大な恒星間航行船が衝突した場所ではないかという、大胆な推測もあったりする。

この原因を解明するには、同地を周回する玉兎2号が必要である。以前、玉兎2号は月の裏側に奇妙なモノリス(石碑)を発見したが、これは小惑星の衝突による破片と考えられている。
また、最近できたばかりの小さなクレーターで、玉兎2号は奇妙なゲル状の物質を発見した。この正体不明の物質は、周囲の月の土や岩とは明らかに異なり、その色も濃い緑色に見えることから、科学者たちの注目を集めている。

つまり、月の裏側には、まだまだ多くの謎が残されているわけだ。現在、月の裏側で活動している唯一の月面探査機である玉兎2号は、天文学者からも、より新しい、驚くべき発見をもたらしてくれるだろうと期待されている。
おわり