中国メディア「二雷説車」から「日本人が中国車を分解したところ、日本製の部品がないことに気づいた」を紹介します。
今回は特定の車種について解説するのではなく、「電気自動車」全般についてお話しようと思います。面白いことに日本人は、今中国で一番売れている中国製の電気自動車を購入し、すべて分解した結果、「この中国製の電気自動車には日本製の部品が一切使われていない」という驚くべき結論を出したようです。
中国はどのようにやり遂げたのでしょうか。それではさっそく本題に入りましょう。

新エネルギー自動車、特に電気自動車は、世界的に見ても中国製と外国製という分け方が適切でしょう。中国の電気自動車メーカーはBYDから新興ブランドまで数多くあります。外国製のものであれば一番有名なメーカーはやはりテスラでしょう。
自動車製造業を経済の基幹産業とする日本ですが、現在、電気自動車方面においては少し出遅れています。
しかしながら、日本人は非常に勉強熱心です。
1950〜60年代にかけて、私たちが神話とみなしている日本の製造業も最初はコピーから始まりましたが、日本はアメリカの弟分だったため、より簡単にコピーすることができました。
日本の製造業が高い創造性を発揮していたのは1970年代後半〜1980年代にかけてですが、その後、アメリカによる特定産業への攻撃によって、特に東芝叩き事件以来、日系企業の創造性は低下しています。
例えば、半導体産業では、日本は最盛期から現在に至るまで周回遅れとなり、一部の材料で優位性を持っているに過ぎません。
新エネルギー車に関するデータを見ると、特に電気自動車に限って言えば日本の状況はかなり悪いと言えるでしょう。
統計によると、2021年度の世界の電気自動車生産台数は399万台。このうち中国は229万台で、全体の57.4%を占めています。次いで欧州が22%、米国が12%、そして日本はわずか0.9%にとどまっています。
また2021年の輸出量ですが、中国は50万台の車両を海外に輸出しています。ドイツは23万台、アメリカは11万台、日本は2.7万台に過ぎません。さらに中国は自動車大国である日本に電気自動車を6,187台輸出しています。この量は多くはありませんが侮っていけません。なぜなら自動車産業は日本の生命線だからです。ガソリン自動車でいえば、これまで欧米の一部の高級車しか日本に輸入されていませんでした。
電気自動車の製造において、今や中国が絶対的なリーダーとなっています。
ではなぜ中国は「電気自動車」大国になれたのでしょうか。理由は2つ。ひとつは、経済産業政策+サプライチェーン。もうひとつは、中国や米国が電気自動車を選択したことで、日本がこれまで進めてきた水素エネルギー自動車の開発にブレーキがかかってしまったからです。
日本の従来の自動車メーカーは、電気自動車分野では端に追いやられているのが現実です。
だから日本人はどうにかしたい。何しろ自動車産業において日本の技術蓄積はまだまだ厚いですから。
日本は、中国で最も売れている電気自動車のひとつである「五菱宏光ミニ」を分解することにしました。この車は、市場での優れたブランディングと超格安な価格設定により、発売されるやいなや大人気の車種となりました。専門家の分析によると、この五菱宏光ミニタイプの電気自動車は、近い将来、中国市場を席巻するだけでなく、世界のミニ電気自動車市場においても浸透し、世界の自動車市場に影響を及ぼすのは必至です。
だからこそ、この小さくて安い車は、欧米や日本といった伝統的な自動車大国から大きな関心を集めているのです。

日本人が五菱宏光ミニを分解した目的は2つあります。ひとつはこの車がどのように作られたのか。もうひとつは、なぜこれほど低価格で車がつくれたのか。同じような車が7〜8万元以上する日本では、五菱宏光ミニの価格設定に対抗するのは不可能と日本は考えている。
この分解は名古屋大学の山本真義教授「名古屋大学パワエレ研究室」が中心となって、中国で38,800元(70万円)で購入して輸入した五菱宏光ミニの最上級バージョンを使って分解を行い、次のような大筋の結論を出しました。
価格3.88万元の五菱宏光ミニの分解の結果、部品の合計コストは26,900元ほどと予測した。
中国の自動車メーカーが新しい合理的な設計手法により、パーツを簡素化し、コストを削減したというのが日本人の認識です。
流線型の斬新なデザインのため、日本人が分解したところ、日本製部品が一切使われていないことがわかりました。初期の中国国産車には日本製部品が使われていることが売りであり、日本製部品が一切使われていない車が爆発的に売れて業界のトレンドをリードできるのは、簡単なことではありません。
五菱宏光ミニはエアバッグやエアコンなどを装備し、低価格で販売されていますが、日本人が試乗しても「乗り心地に特に不満はなかった」と結論付けています。
五菱宏光ミニは、品質に多少の懸念がある部品を使用していますが、簡単に部品交換ができるように設計されており、修理がしやすいことで欠点をカバーしています。考えてみれば、長年にわたって多くの人がフォルクスワーゲン社の乗用車を好んで買ってきた理由のひとつは、細かい不具合が多いものの、簡単に安く手軽に直せるという強みがあったからでしょう。
欧州の車販売代理店が現地販売用に五菱宏光ミニを導入しており、日本の販売代理店も導入したいと考えていますが、技術的な問題があるようです。
五菱宏光ミニのような安価モデルの製造は、日本の自動車メーカーには絶対にできない領域です。
日本人は、五菱宏光ミニの分解は、中国の自動車会社が電気自動車の開発・製造の技術基準を革新しうることを示すものだと考えています。
分解後の日本人が出した結論からすると、中国の自動車会社は、過去数十年の蓄積によって、欧米や日本のメーカーと同じ手法で自動車を開発しなくても、市場のニーズに合った独自モデルを開発し、それが市場で認められることに確固たる自信を持ちつつあります。また、中国の電気自動車産業チェーンはすでに完成度が高く、日系企業のスペアパーツを一切使わずに開発することができるまでになりました。これは、少なくとも技術的に行き詰まらないという点では非常に珍しいことです。
実際、2022年の電気自動車の第1四半期の販売台数を見る限り、テスラの優位性は少なくなってきており、ブランドイメージを除けば、テスラ車のシステム面では「ファーウェイAITO M5」に劣り、外観面でも辛口コメントが多く、車内空間面では最新電気自動車モデルに劣り、インテリア面は欧米カーメーカーほどではありません。

もともと中国の自動車産業は、ガソリン車時代には最も批判された産業のひとつでしたが、新エネルギー車の時代にはおいては、電気自動車は中国の産業高度化の中で最も進んだ技術的に自律した産業の1つとなっています。
電気自動車を買おうと考えているのなら、中国メーカーのものを選んで損はないと思います。中国メーカーに勝てる海外ブランドは1つだけで、それは今も中国工場生産に頼っているテスラだけですね。
おわり